『と或る村の晴れた空と少女と仕事』プロローグ.
シラー・ペルウィアナ、14才。少女。農村在住。仕事『魔法洗濯屋』。『家庭菜園』有り。かぼちゃ、にんじん、じゃがいもは常に作っている。庭には檸檬の木と黄橙(※オレンジみたいなその世界の果物)の木が有る。
お肉は三軒先のベコニアさん宅で物々交換。たまに幼なじみが、野生のうさぎを持ってくる。(おすそ分け)。うさぎはかわいいので、叶わくば食べたくない。(でも食べるw主にシチューになる。幼なじみも食べて行くので、これで物々交換。こんな感じで、彼女は生きている。)
雲一つない青空のもとで、彼女は白い大きな布を広げた。空を仰ぐ。
果てしない空は、世界に平等と言いたげに、今日も盛大に勝ち誇っていたーー
その日差しは今日も、広げた布を、パキパキに乾かしてはしてやったりと言う顔をして、ほくそ笑んでいた。
誰も何も言わなければ、平和なので在ろうと。
❅ ❅ ❅
そのちいさな村には、と或る少女が住んでいた。彼女は幼いながらも、ひとりで暮らす。
家族は今、何処にいるのかは、彼女は知らなかった。父と母は、冒険者だ。有名ではない。おそらく普通の冒険者だ。少女は幼いながらに思った。
そもそも冒険者とは何なのだと。
村には冒険者はやって来ない。行商人もやって来ない。そもそも他所から訪れる者が、いなかった。
村には鳥がいた。卵を産む。それから家畜がいた。育て、食べる。偶に家畜農家を営む大人達は、村の外へと行く。
近くで一番大きな街へと、肉や野菜を売りに行く。交代で行く者達も在れば、連立って行く者達も在った。卵は傷み易いので、余り売られに行く物ではなかった。
穀物農家から分けて貰う挽いた粉と混ぜるのに、時々皆白きびを頼む。街に行くと有るが、此の村では作らない。水が合わないのか、土が違うのか、育たないのだ。
白きびは甘い。粉と混ぜたところに、卵と家畜の乳か水を混ぜた液と混ぜて、鉄鍋で丸く焼く。果実の保存煮をとろりと載せる。ヤツデの樹液が有れば尚更良い。
前に黒甘砂で代用したら、想像より黒くて不気味だった。そして甘過ぎた。
やはりあれは白きびで作るべきだと、ペルウィアナは思った。シラー・ペルウィアナと言う14に成る歳の少女は、この村でひとりで暮らしていた。
シラー 一家の末娘で在った彼女は、もう大分小さい頃に両親と別れたきり、会っていない。何処で何をしているのかは、知らない。最近は連絡も来なかった。
偶にやはり数年前に旅立った兄から、手紙が来た。偶には帰りたいが、忙しく、纏まった時間が取れぬと常に書いてあった。兄はウィアが11の歳に成る前の日に、家を旅立った。初めの頃は金が送られて来たが、最近はくすんだ黒っぽい石が送られて来たのを最後に、時々手紙が来るだけに為った。最もそれでも困らない。食べる分だけの野菜は作れるし、ウィアは収入有る仕事もしていた。
始めたのは、12も過ぎた頃からで在ったが。中々順調だった。
村の大人から話を聞いたのだ。
もう少し街に行くと、洗濯屋が在るのだと。
シーツや何やらを洗う仕事らしい。此処は農村。仕事着も土で汚すが、汗をかいた顔や身体を拭く布や何やらも意外と溜まる。街には其れ等を洗える『魔法職』が、居るらしいと。
魔法が使えるウィアに、近所のおじさんが教えてくれたのだ。
「やってみたらどうだ」と。
こうしてペルウィアナは洗濯屋になった。村で一軒の。
新作、新しいジャンル、にちょっと挑戦☆よろしくお願いします。m(_ _)m///(ペコリ)