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シティバトル3

 ドクとマイクはその男の顔を見て頭を抱えた(手は縛られてるんだけどね)。


「あの……誰なんですか、この人」


 二人の表情を不思議そうに眺めてアンディが尋ねた。


「ちょっとした身内の恥でね」


 マイクはそう言ってのけると、もぞもぞと男のそばに近寄っていった。そして片足を伸ばすと、男の体をちょっとつついた。それでも反応がない。


「コラ。アレックス。いつまで寝てるんだ」


 痺れを切らして、とうとうマイクが声を上げた。が、アレックスは少し寝返りを打つだけである。


「……ん……」

「全く、君らに脱出の望みをかけとったのに、自分が捕まってどうするんだ、こら!」


 だんだん声が大きくなると、やはりいつものようにドクが間に挟まった。


「まあまあまあまあ。落ち着いてください、マイク。アレックにもいろんな事情があったんですよ」

「事情!? どういう事情だってのさ……!?」


 自分でもあまりにも大人気ないと思ったんだろう。マイクはちょっと舌打ちするとしみじみ言った。


「……いかんな……。この頃、とみに性格がすさんでいく。やっぱり、朱に交われば赤くなるものなのかなぁ……」

「……元からそういう性格だろ?」


 今まで寝っ転がってた人物はそう言うと、目をぱっちりと開けてニヤニヤと笑ってみせた。マイクは馬鹿にされてるとでも思ったらしい。


「アレックスー!」

「うるせえって。静かにしろよ」


 アレックスはすっと起き上がってあぐらをかくと、キョロキョロと周りを見渡してドクに尋ねた。


「キャップ、いねーの?」

「いませんよ? アレックスと一緒じゃなかったんですか?」

「だって三人捕まってるって聞いたから、キャンプもてっきり捕まったもんと……。こいつ、誰?」


 アレックの手は縛られてなかったので、指差した手はまっすぐにアンディに向けられていた。


「味方さ」


 さらっと流すとマイクはアンディにウインクしてみせた。


「な?

「はい」

「……何ツーカーやってんだよ。でもキャップが捕まってねぇんなら、まだ望みがあんな」

「のぞみ?」

「そうさ」


 ふっふっふ、てめえらにはわかんねーだろうよ、とでも言うような顔のアレックス。


「まさかこのメカの天才アレクサンダー様が、ただ何もせずに敵の罠にはまったと思ってんじゃねえだろ?」

「そうなんだろ?」

「そうなんだろ? ってなぁ、マイク。お前、俺のことそう思ってたのか?」

「思ってたとも」

「ちょっと、マイク。アレックの話が先に進まないじゃないですか。何をしたんです?」

「いやあ、さすがはドクだ。話がわかる。この懐の中にあんのはこのメカニックの天才が作り上げた無線機で、これさえ使えばパパッとキャップと連絡が取れ……」


 自信たっぷりに懐を探っていたアレックの手が一瞬止まり、手の動きは一層早く体中を探り、その後お体のあちこちを軽く叩きだした。


「……どうした?」


 呆然としているアレックにマイクは尋ねてみた。


「……ない」

「え?」

「ないぞ! 無線機がない!」


 慌てるアレックと対照的に、マイクとドクは落ち着いてた。というより白けてた。


「まあ、そんなことだろうとは思ったけどね」

「定石どおりだとかえって白けますね」

「おい。お前ら、俺が嘘ついてると思ってんだろ」

「思っちゃいないさぁ」


 あまりにも心外だというようにマイクが言った。


「多分、アレクが寝てる間にやつらが取ったんだろうさ」


 せっかくいい考えだと……とかなんとか、まだアレックスは愚痴っている。


「それにしてもどうしてアレックスが捕まったんです?」


 ドクがしみじみと聞いてきた。


「アレックの運動神経反射神経からすると、捕まるようなドジを踏んだとはどうしても思えないんですが」

「あ、そういうこと言うわけ?」


 ドジったことを指摘されて、アレックはお返ししてやろうと思ったらしい。


「そんならさ、そっちはどうだってんだ? マイクの智謀とドクの人当たりの良さで出し抜けきれなかったのか?……って、坊主が足引っ張ったのか」

「坊主とは何だ」


 アンディの言葉をうんざりしたように聞き流しながら、マイクがしゃしゃり出て言った。


「おいおい、ここまで来て喧嘩はやめてくれよ。とにかく、お互い今まで何してたか知らなけりゃいけないな。これからのことはその後考えよう」


 意義は出なかった。


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