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マン・ターゲット3

 赤、青、黄色のネオン。大きな看板。大勢の人。


 アレックスは身の回りのものを買いにステーションの商店街に来ていた……というのは口実である。実は、めぼしい女の子をナンパに来たのである。

 とはいうものの、別に女の子だけに目の色を変えているわけではない。結局のところ、ただの暇つぶしなんだなー、これが。

 早く出港すれば色々とあって退屈せずに済むものを、ステーションの頭の固い官僚のやつらが引き留める。……つまらん。街の中の方が、動かないヘルメスよりは面白いからな。

 だから、今まで10人ばかりの女子に振られていたって、それはそれで大したことではないのだ。ウン。


 広い道。その両側に並ぶ洒落た喫茶店やブティック。それにくっついている木が植えてある白い歩道。その木の一つにアレックスは寄りかかっていた。

 アレックスの前を通るのは、様々な色の花よりも艶やかで美しい女性たちだ。


「お、いい娘だな」


 アレックスがニヤニヤしながらお目当ての女の子の後をつけ始めた時だった。


「……動くな」


 背中から男の低い声がした。そして同時に何か硬いものが背中に押し付けられた。


「……あいにくお茶のお誘いは女の子だけに限ってるんだ。他を探してくんない?」


 謎の相手は、とぼけたアレックスにギリギリと硬いものをますます押し付けた。何かは確認していないが、多分ブラスター!


「……歩け」


 後ろの男に強要されて、人気のない路地の方へと歩いて行く。未練たっぷりにアレックスが女の子達の方を振り向くと、視野の端に30代ぐらいの、一見してどこかの組織の人間とわかる男の顔が見えた。


「とっとと歩け。死にたいのか」


 男に言われてアレックス首をすくめ、路地へと入っていった。

 入った途端にアレックスはいきなりしゃがんだ。


「なっ……」


 男が驚いて隙ができたところで、アレックスはその足を引っ掛けて倒れさせた。ブラスターは遠くへ飛んで行った。


「ほーんと運が悪かったねぇ。俺なんかにブラスターを向けるなんざ、ね。おかげで退屈せずに済みそうだ」


 そう言いながらポキポキと指を鳴らすアレックスの肩を、誰かが叩いた。


「さて、どっちが運が悪いんだろうな」


 そこにはアレックスの体重の2倍もあるような男が4、5人いた。ただバカでかいだけでなく腕も立つだろうことは、アレックスには一目でわかった。

 アレックスは低く口笛を鳴らすと片頬をニヤリと崩した。


「……これはまた、願ってもないことで」


 ……5分後、路地で6人の男が怪我をして倒れているという通報がステーションの保安部に入った。

 目撃者によると、まだ20代半ばの小柄な男がゆっくりとそこから歩いていくのを見たそうである……。




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