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ヘルメス3

「まあいいですよ、長いこと会ってなかったですからね。元々どっちつかずの人間ですし」


 苦笑してそういうセラを中心に、ヘルメス号のクルー達は喫茶室に集まっていた。


「いや、悪かったよ。なんせこの人が”ヘルメス号にマスコットガールを“をスローガンにして運動中なもんでね」

「当たり前だろうが、男同士で2、3週間も顔を突き合わせて何が楽しい言ってんだ」


 コーヒー、紅茶の並ぶ中で、唯一置かれた酒のボトルを取って、グラスに注いだ船長であった。


「にしても、ウチのブレインの気が利くこと! セラを確認すると俺らはそっちのけで歓迎準備だからなぁ! マシンなら正確平等に行こうぜ! 平等に!」


 船長がインターホンに怒鳴ると、向こうから典型的なマシンボイスが聞こえてきた。


「ソレジャア平等ニ船長モ こーひーニ スルンデスネ? ヘイヘイ、ワカリマシタヨ」


 それに合わせてテーブルに置かれたボトルがせり下がっていくように沈みかけると、ディアスはひょいとつかみ上げて、


「馬鹿野郎! そう言っているんじゃねえや! 大体お前、船長である俺に対して態度悪いぞ! あん時助けてやんなきゃスクラップになってたっつーこと、てめえの許容量のちいせー記憶バンクから落っことしちまったってのか!?」

「別ニ船長ニ助ケラレタワケジャ アリマセンヨ。まいくニ助ケラレタンデス。コノ船デ大シタコトシテル ワケデモナイクセニ、ヨク ソンナコトガ言エマスネ」

「てめえ! いつからそんな無駄口叩くようになった!!」

「船長ノ真似シテル ダケデスヨ」


 二人の漫才がどこまで続くだろうと思うところに、仲裁が入った。いつもの通り、ドクトルである。


「まあまあ。いい加減にしてくださいよ、キャップ。ハワードも少し言い過ぎだぞ」


 ドクの「必殺! まあまあ攻撃!」が出ると、どうしても喧嘩の決着を先に延ばすことになってしまう。たとえ船長でも。……別に船長が乱暴だとは言っていない(乱暴だけど)


「アレックスがいませんね。どうしたんです?」


 セラがやっと毒舌合戦が収まったの確認すると、マイクに聞いた。


「ああ、僕が愛用しているエレ卓が壊れたんで直してもらってるんだ」

「またプログラムが消えたりしませんか?」

「いいんだ、それでも。その時はアレックの給料からエレ卓代をひいておくから」


 セラはクスクス笑った。


「変わらないなぁ、みんな」

「変わってたまるかよ」


 ディアスは空になったボトルをテーブルの上に置いていった。


「アレックスの仕事が終わってこっちに来たら、仕事の話にしようぜ。これ以上酒を飲むのにも飽きたしな」

「ダカラ こーひーニ スレバ……」

「うるせえっつーに! 俺の勝手だろうが!」


 ……少々ご機嫌斜めのようである。



 ヘルメス号の内部はいくつかの類に分けられる。


 まず、半分以上を占めている倉庫。

 これはヘルメス号が商船である限り、当然のことであろう。


 二つ目に広いのが機関室。

 メカニックのアレキサンダー・ジェームス・テイラーの仕事場である。 アレックスに連絡を取りたいなら、まずここに来れば会えるだろう。


 それから指令室。事実上、船長の縄張りである。


 医務室。ヘルメス号のドクトル、アーサー・カンツォーリオがここにいる。

 美味いコーヒーを飲みたいんなら、喫茶室よりこっちに来た方がいい。


 各個室。

 前に出た喫茶室。

 風呂、トイレ。


 そしてコンピュータールーム。

 このブレインコンピューターの名前がハワード・ヘルメスなのである。

 なぜヘルメスだけでないのかと言うと、少し事情がある。また後ほど。


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