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幼女の尖兵と成って召喚者をクレイモアでぶち殺す話

 まさか、異世界に来て死因が銃で撃たれての失血死っての誰も想像つかないだろうな。

 特に、召喚者たるアイツ等は。

 双眼鏡を覗き、召喚者の少女を見る。楽しそうに笑いながら金髪碧眼の青年と相乗りしている。馬ではない。よくあるダチョウっぽい鳥だ。ダーチョと言うらしい。

 距離は1500メートル。ここまでの一本道。相乗りダーチョの後ろには一台の荷車。卑屈そうな顔をした召喚者の青年が隣に座るゴツい鎧を着たオーガ族だろう能天気そうな女に絡まれている。

 フムフム。御者も召喚者だ。フードを目深に被り現地人を偽装しているが俺にはわかる。神様がくれたいくつかの能力の一つで。

 有り体に言えば視線を集中させれば召喚者なら一度視認すれば名前と性別が分かり、輪郭が出て2キロ圏内ならば目視でわかる。


「さて、馬車の足を止めてからやるかな?」


 いや、もっと良い手を使うかな?

 いくつか用意しよう。道の脇にある茂みに罠を仕掛け、目印のちょっとめずらしいが何処にでもある大きめの石を道の真中に置く。

 歩くと目立つが馬車や馬等に乗っていればさほど気に留めない物だ。違和感に気が付くと良いな。

 罠を仕掛けたポイントから300メートル程離れた場所に立木があるのでそこまで素早く移動する。立木の根本に伏せて、いくつかの銃を置く。

 一丁はVKSと言うロシアのストレートプルボルトを搭載したサプレッサーを標準装備した50口径の狙撃銃。コイツは足止め用。

 次に用意したのはVSS特殊消音銃。コイツは対象を狙撃する用。名前の通りサプレッサーが標準装備されてる半自動式小銃だ。

 そして最後がM249分隊支援火器。ミニミと言えば分かりよいだろうそれは攻撃がバレて標的が反撃乃至逃走を始めた際の足止め用。

 ACOG搭載なのでセイミツな射撃も可能になる。


 VKSを構えて標的が狩場に入るのを待つ。5分ほど待っていると案の定、相乗りのダーチョが石を越える。良し。

 息を吸い、軽く吐いて後方の荷車に狙いを定める。狙いは車軸。車輪さえ壊せれば荷車は止まる。

 トリガーを絞るとガシュっと音を立てて50口径弾が空中に飛び出た。瞬きをすると同時に荷車の車輪は軸受を粉砕され、そのまま車軸の一部と共に吹き飛ばされた。

 車軸と軸受が壊れた事で荷車はバランスを崩し、バキンと小気味の良い音を立てて残る車輪にもダメージを与えて止まる。攻撃は成功だ。

 直ぐにVSSに持ち替えて、スコープを覗く。PSO-1と呼ばれるそのスコープには卑屈そうな顔をした召喚者と御者台の召喚者にオーガの協力者が馬車から降りる様子と、相乗りの召喚者が彼女等に駆け寄る最中が映し出された。


「あーあー固まっちゃって」


 手元に持った起爆装置をカチカチカチと押し込む。本来の起爆装置は有線方式だが神様が利便性を考慮して電波式にしてくれた。

 馬車の周囲がドンと炸裂して700発の鉄球が音速を超えて召喚者達を襲う。クレイモア対人地雷だ。M18と言う名称が与えられている例のアレだな。

 それを4つ仕掛けた。4方向からの攻撃で万遍なく弾をバラ撒く。全員即死半径にいる。一個で上手くやれば歩兵一個小隊を全滅出来るのだ。

 それを4個仕掛けて炸裂させた。さぁ、どうかな?

 VSSを覗くと現地人とダーチョは死亡し、相乗りの召喚者は無傷、御者台の召喚者は片腕がもげていた。卑屈そうな召喚者はオーガ族の死体に押し潰されてモガモガやっている。

 アイツから殺すかな。


「距離308か」


 レーザー測遠器で距離を確かめて狙いを付ける。何とかオーガ族の死体を退けて這い出た卑屈そうな召喚者の胸に狙いを定め、トリガーを絞る。

 バシャっと音がしてボディーアーマーすら貫通する9mm弾が発射される。弾丸は寸分の狂いも無く卑屈そうな召喚者の喉元に直撃。卑屈そうな召喚者は喉を抑えて暫くバタバタしたがそのまま死亡した。

 次に狙いを定めるのは今だ現状が掴めていないという感じに死体に縋り付いている相乗りの召喚者だ。胸元に狙いを定め、引き金を絞る。これもまた命中。


「あと一人か……」


 残る御者台の召喚者を探すと輪郭だけ見えて、姿が見えない。ダーチョの死体に隠れているのだ。出て来るまで待つか?否、それは相手の思う壺だ。彼奴が増援を呼んだ可能性もある。

 しょうが無い。殺しに行くか。

 2丁の銃を片付けてVSSを持ってダーチョの死体に近付く。


「出て来いよ〜」


 ダーチョの死体に呼びかける。するとダーチョの死体の奥からヌッと左手が上がる。


「私達に攻撃の意志はない!

 何者だ!」

「良いから出て来いって。

 人と話す時は目を見て話せって言われたろ?」


 言うと御者台の召喚者はユックリと立ち上がる。足元には胸元を抑えてモガモガ苦しんでる相乗りの召喚者がいた。


「何が目的だ」


 取り敢えず、御者台の召喚者を殺す前にこの死に損なった彼女を殺しておく。胸を踏んづけて頭に2発。


「何て事を!?」

「苦しませるのは好きじゃないんだ」


 御者台の召喚者の胸を撃つ。倒れた所で頭にも2発。

 はてはて、卑屈そうな召喚者の死亡も確かめておくかな?オーガ族の死体に近付き、目の前の重そうな鎧に辟易しつつ頑張って裏返す。

 驚いた事にオーガ族は死んではおらず気絶していた。ふむ。コイツに言伝を頼むのもアリだな。まぁ、それは死亡を確認してからだな。

 卑屈そうな召喚者に歩み寄り、頭部に狙いを付ける。


「やめ……ろぉ!」


 そこでオーガ族のが目を覚ましたのか、声を上げた。


「おぉ、もう目覚めた。さすがオーガ族のタンク。

 君に言伝を頼むかな。君達の雇い主に伝えなさい。これは神からの神罰である。勇者召喚は神のみに与えられた特権である。

 じゃ、そういう事で」


 卑屈そうな召喚者の頭も撃って完全に殺しておく。


「ガァアアァアァァァァ!!!」


 オーガ族は満身創痍で立ち上がりながらこっちに向かって突っ込んで来た。わぉ、凄いな。

 まぁ、万全の状態でも無いし相手にするだけ時間の無駄だし何よりも現地人の損害は出来れば出すなって事だからね。無視しておこう。

 横にサッと飛んでからスモークを投げる。


「じゃあ言伝頼んだよー」


 煙に紛れて現場から離れる。その際に上空に発煙弾を打ち上る。これで周りの通行人や増援も位置が分かるだろう。

 事が済んだらさっさと逃げる。それが優れた暗殺者の仕事だ。

 銃を仕舞い、神からの能力の一つである身体強化もされて魔力探知や匂いを辿っての追跡等を躱せるし、目視ならば5メートルも離れたら動かずにその場に伏せるだけで例え逆鱗を殴りつけて挑発したドラゴンですら気が付かない程に気配遮断に優れたギリースーツ。本当に便利。

 後は召喚者に対してあらゆる防御を貫通する弾丸を放てるあらゆる銃や兵器が出せる能力。

 現地人に対してはその武器本来の威力しか出ない。まぁ、どんな強い人間でも300メートル先から50口径で撃てば普通に死ぬけどね。


「さてさて、取り敢えず、近くの教会まで行って神様に報告だな」


 現場から完全に離れたところでギリースーツを脱いで服装をこっちの世界の冒険者とか呼ばれている連中の格好をまねる。と、言ってもこっちはメインじゃないので安い革製の鎧の上にマントを羽織るだけだ。荷物等はこっちの世界でもある無限収納、と言うには些か語弊があるが物を大量に収納できる革袋を神様に四次元ポケットレベルにデカくして貰った物を使っている。

 この中には他にも1日1回送られてくるこっちの世界で使える貨幣、世界で最も美味しいレーションの一つとして数えられる日本の缶飯とパック飯が送られてくる。他にもテントや寝袋、ジュースにお菓子と言った物が大量に入っているのでお金と野外での生活にはさほど困らない。

 緊急時には神様に送れる手紙セットなんてものもある。

 町の近くまで来ると重装を施した騎士達が馬に乗って凄まじい勢いで出て来た。


「勇者様一行から救援があった!

 敵は魔王軍と思われる!気張っていけ!!」


 騎士の隊長であろう男がそんな事を叫びながら走って行く。冒険者達が迷惑そうにそれを睨んだり、不安そうに見つめたりしていたが、彼等はもう遅いのだ。

 俺はそのまま町の門衛に冒険者の証を見せてから中に入る。中に入れば後はこっちの物だ。その足で教会に向かう。教会はこの世界で猛威を振るっている一神教で、俺の雇い主を崇めている。教会に入るとシスター達が掃除している。

 シスター達は俺を認めると掃除を辞めて頭を下げる。俺はそれに答えず、近くの長椅子に寝転がって目を閉じる。


「其処の貴方!」


 寝転がるとシスターが憤怒の顔でやって来る。


「汝、眠れる者を起こす事なかれ。

 その者は神に愛されるのだ」


 聖書の一文を読み上げて掌を向けるとパチーンと手を叩かれた。


「それは亡くなった方を無闇に蘇生させるなと言う意味です!

 睡眠している人を起こすなって意味ではありません!」

「チッ、知ってたか。

 少し眠らせてくれよ。説法の時間でも無いし別に良いだろうが」

「良くありません!

 この場所は神が見ておられるのですよ!神の前で寝るとは一体どういう了見ですか!」

「神の前で寝ちゃいかんのか?

 別に聖書にも汝、神の前で眠ること無かれとは書いてないだろう」


 ベンチに寝転がるとシスターに蹴り落とされた。


「汝、神を崇めよ。そして讃えよ。

 神は貴方の苦を知り、悩を癒やすだろう!」


 なんて話していたら頭の中で鐘がなった。慌てて座り直して手を組み、頭を乗せる。傍から見れば祈ってるようにも見える。


《げんきしとるー?》


 してますよ神様。そっちに3人行きましたか?


《きたよー

 せつめーしたらわかってくれたーめっちゃおこってたけど》


 えー?極力苦しまずに殺したし、現地人も一人だけしか殺さなかったじゃん。


《なんかーせつめいぐらいしてほしかったらしいよ》


 そう言って過去13件全て戦いに発展したもん。


《それもちゃんといったー》


 理解は得られなかった、と。


《せやなー》


 難しいな〜


《むつかしーなーでも、うちはオマエのがんばりをちゃーんとしっとるでー》


 ありがとう。


《どーいたしましてー》


 んじゃ、俺は暫く遊んでから召喚者の情報集めますわ。


《よろしくなーがんばりやー……あ、そうだ。まえまえからいってたなかまなーけんとうしてみるわーさいきんまたかずあわないんよーオマエひとりだとやっぱりてがまわらんみたいやしー

 じゃ、がんばりやー》


 リンゴーンリンゴーンと鐘の音が聞こえ、神様との会話は終了した。

 この世界の神様は相変わらず緩いな〜さすが幼女。

 要件も終わったので立ち上がる。


「ちょっと!いきなり何なのですか!」

「じゃ、用事終わったから帰るわ。

 汝等に神の祝福があらん事を」


 シスターに手を振り、それから街へと繰り出す。

 街では何やら騒がしかった。先程のオーガが騎士達に担がれて戻って来たのだ。


「また魔王軍の殺し屋が勇者様を暗殺したらしいわ」

「またか。勇者様は本当に強いのか?」

「南の方でも殺されてるよな」


 そんな話が市民から聞こえる。ウムウム。

 しかし、幼女ちゃんも何で態々魔王軍なんて作ったんだろうね。魔王軍なんて存在でこの世界の人類間引くから禁忌の技見つけちゃってこんな面倒臭い事になるのに。

 だったら飢饉頻発させて、人類同士殺し合いさせた方が楽だしこんな大きな問題にもならなかったんじゃないのかなぁ?


「体が真っ二つに切られた勇者様の死体もあったらしいぞ」

「本当か?俺が聞いたのは頭にドングリみたいな大きさの穴が空いて死んでいたそうだが……」


 お?それは本当の魔王軍が出してる討伐騎士だぞ。

 ま、良いか。取り敢えずお腹減ったし宿に戻ろう。

発作発病


勇者を影から手助けするなら魔王軍を影から手助けする(手助けするとはいってない)物語もあってエエやろ?

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