樹海9
そのころ、主婦が株で大もうけしたとか、普通の何の知識さえない人が、容易く大きな金を儲けていた。
いろんな本が書店にもならび、ブログやネットでもさも簡単かのように書いていたし、実際はじめて、
大金ではないがこつこつと、金儲けができた。
時給800円や900円と言う安い給金で働くよりはるかに効率がよく。
僕もこれでやっていけるかもしれないと一縷の望みを抱いた。
だが、世の中はそんなに甘くはない。
いきなりアメリカ経済が軋みはじめ、サブプライム問題と言う、僕からすれば何の関係もないことで、日々株価は暴落し
僕の貯金はあっという間に半分以下になった。
もともと僅かの貯金が一瞬でなくなったのだ。
僕はしばらくショックで立ち直れない日々を送った。
だが、食べるためには働かなくてはならない。
酒を飲んで紛らわせる金もない僕は、絶望という暗澹たる気分を味わい。
眠れない日々が続いた。
幸い家賃は調子の良かった時にまとめて払ったので、しばらくは暮らせるが、そのあとは野宿だろうか。
自業自得と人は言うだろうが、他にどうすれば良かったのか。
成功すれば努力は認められるが、成功しなければバカよばわりでしかない。
僕は賭けにまけたのだ。
そう自覚すると、少しだが、、もうあとは死ぬだけなんだろうなと漠然と思った。
死ぬのが怖い?そんなことはない。
絶望の中で痛めつけられる方が怖かった。
いい年の男がどんなことをしても食べていける。
簡単に人は言うが、コネのスキルもない僕には雇ってくれる場所がない。
雇ってもらっても明日の保証はないのだ。
そんな人生にどんな展望があるのだろう?
生きていく意味があるのだろうか。
僕は自分の苦痛を少しでも軽くできないかと、インターネットの情報の海の中を捜し始めた。