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樹海8

 だが、時代は良くても僕のようにまともにスキルのない、年齢の高い男にまともな職場は無かった。

 何故スキルを磨かないないかと責められても、日々の仕事に満足していたし。

 販売の資格などは取っても意味がなかったようだ。

 預金も少ないし、安定した仕事もない。

 僕には明日が見えないでいる。

「そこで投資じゃないか、ネットの引きこもりや学生が三億稼ぐ時代なんだから、おまえも少しやってみたらどうだ」

 彼はそんな夢のような話を語り始めた。

 主婦やただのフリーターがなんの学問もなくても、こつさえつかめば大金を手にできる。

 インターネットと言う未知の世界は僕にも可能性を示してくれると言う。

「また、いろいろ教えてくれ」

 だが、僕はまだそんな夢の話を信じることは出来なかった。

 書店時代の同僚はなんとか道を見つけたと言うのに、僕には道がない。

 このままで僕はどうなるんだろうか、考えると不安で眠れない日々が続いた。

 急場しのしのぎで本屋のアルバイトに応募した。

 安い給料だったが、なんとか貯金と合わせると食べることはできるだろう。

 もう一つ仕事をもたなければならないが、もっとちゃんとした仕事に着きたいので、そこは活動のために我慢した。

 この仕事は安く雇用保険に入れたくないために、契約時間を制限していた。

 残業はあっても手取り10万では家賃と光熱費にしかならない。

 それに国民年金や健康保険が僕の足かせとなった。

 普通の正社員や親元にいるものならなんともないだろうが、収入の四分の一を取られては生活がなりたたない。

 いつかは払えない日がくるなら、止めてしまった方がいいのではと言う思いもあった。

 それに、生活保護の方が年金より高いのだ、今は払うことなく生活保護にたよるしかないだろう。

 僕は鈴木の言うパソコンを入手しインターネットで世界がたとえもなく不条理なのを知った。

 まじめに働いても、この先企業は正社員を雇う気などさらさらないのだと言うことも理解した。

 生き延びるためには何でもしろと人は言うが、それが人生なら生きる意味はあるんだろうか?

 戦時下なら理解できる。

 しかし、今は平和で物が溢れて安全な世界だ。

 ただ金がないからそれを眺めることしかできないが。

 僕は書店や噂で知った知識から、株と言うものに可能性を感じた。

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