樹海6
同時期に入った者はすぐに慣れたようだが、僕は年齢もいってるし、経験もないのでなかなか慣れず。
何をやっても巧くいかずに、ケアレスミスが増えていく。
主任が言う個数目標などまったく無理だった。
嫌みを言われ、派遣の担当が僕には向いてないと契約を切られた。
自分でも分かってはいたことだが、こんなことも出来ない自分に絶望を感じた。
自分で思っていたよりも僕は出来ない虫けらな人間なのだ。
絶望を感じ、その夜は泣き明かした。
「元気か今度飲みに行かないか?」
そんな時本屋時代の同期から電話をもらったので、たまには気晴らしもいいかと思い、飲みに行った。
「久しぶりだな、どうしている」
同じ年に同期で入った松田は同期と言っても、国立の大学出で研修期間が終わったあと、本社採用になった。
そのあとも本社の窓口業務となったので、接触があり、たびたび飲みに行った。
「あの時は大変だったな、もう俺は人生終わりかと思ったよ」
「僕もだよ、今はどうしてるんだ」
「今は趣味でやってたインターネットの趣味仲間に誘われて、コンテツの会社に就職したんだけど、なんだかあれよあれよってうちに、まあ食べれる企業になってさ、助かってるよ。おまえは?」
名前を聞くと今躍進中の有名企業だった。
「すごいな、、、僕は派遣で、やっと食ってる」
やはり国立の大学出は高校とは違うのだ。
僕は惨めな思いを隠しきれずそう言っていた。
「そんなことないぜ、俺だってここで一生やっていける確信はないからな」
「だけど、大手じゃないか」
「世界は変動してるよ、大手の会社だっていつ潰れるか、安全なのは公務員くらいじゃないかな」