樹海へ行こう33話
それからの僕は彼女が幸運を運んでくれたのか
何から何までうまく行った。
本屋の仕事の傍らに書いたライトノベルでデビューし
小説家と一応なったのだ。
かなり売れて僕は専業作家になったが
それでも不安定な仕事なので、不安があったが
彼女の後押しで、僕は前よりも安定した職につくことになった。
本来看護士だったと言うのが嘘で
女医者だったことは知っていたのだが
彼女は跡取りで、家の病院を継ぐのだ。
その時のために、僕は作家活動の傍ら医療事務の専門校に通っている。
彼女の親が僕を認めてくれるにはそれしかないからだが
ちなみに前の旦那さんは医者で婿養子だったが
婿養子ゆえに卑屈になってDVに至ったようだ。
それだけに、あまり僕らの結婚には反対はなかった。
そのうちに彼女が妊娠し、子供ができると事務などしなくてもいいとかいいだした。
でも、何かあれば手に職がある方がいいし
彼女に必要とされたかった。
ここから転落してまたあの樹海ツアーへと行くようにはなりたくなかったのだ。
毎日のように自殺している人がいる
何万の人が死んでいく、、その中には、ナーガさん、イサオさん、とんさん、ソニアさんなど、、
心弱く優しい人がいるだろう。
だが、僕はもうその輪の中にはもどらない。
今のいごこちのいい家庭と現状とを二度と放しはしない。
僕もまた新聞の自殺者の数字をただ記号のように眺める
そんな立場になれたのだから