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樹海へ行こう32
それから、、
僕は彼女の提案で
彼女の家に居候することになった。
そしてしばらくは清いおつきあいだったが
本屋で新しいネット事業展開をすることになり
準社員ではあるが、社員になれた時に
彼女に結婚を申し込んだ。
なんとも、漫画のようなありえない話だが
当時を振り返ると
ぎりぎりな自分が彼女とどうのとか
遠慮があったし
彼女も前の旦那さんのことで
男性に不信感がまだ残っていたようで
僕たちは相憐れむように
肩を寄せ合って同居できていた。
だが、僕も彼女の優しさと、同居による経済の安定で
精神にも余裕ができたし、準社員にまずなれたので
彼女と一緒にいたい渇望するようになったのだ。
彼女の返事は「いっしょにいよう」
そう言ってくれた。
僕の最悪の人生のどん底の折り返し地点で女神がほほ笑んだのだ。
僕はこの時はじめて、あのときに死ななくてよかったと思えた。
人間現金なもので立場が良くなれば、すぐにそう思うものだ。