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樹海へ行こう29話
死地から生還できたからと言って
僕の状況が劇的に良くなったわけではない
前よりも悪化しているくらいだ。
死ぬからと景気よく散在したし
命を救ってくれた病院にもお金を払わないとならない。
結局は、さらに加速してしまったわけだ。
僕はあとわずかな金と相談しながら
確実に今度こそ死ねる方法を模索した。
死ぬのが怖くもなっていたが
死にきれなかった方がもっと恐ろしいので
難航していたそんな矢先
常連で僕とも本の趣味の合う
看護士の高橋さんから
飲みにいかないかと誘いを受けた
本来なら断るのだが、趣味の合う人をしゃべってみたいと言う誘惑と
高橋さんが、居酒屋の無料券をもらったので
一人ではいきにくいからと言う言葉で僕はその気になった。
高橋さんが僕に気があるとか、そんなうぬぼれた気持ちはない。
僕は死ぬことを選択したのに、それさえも果たせないような
つまらない最悪の人間だから、こんな僕に高橋さんのような人が
本当に興味を持つことはないだろう。
僕は人生に落伍し、死ぬことからも落伍してるのだから