樹海へ行こう28話
猛烈な苦しみの中、僕は目が覚めた
覚めてもここがどこなのか、何がおこったのか
僕はまったくわからなかった。
真っ白い部屋の中にいて
白い服の人がいる。
僕は混乱して茫然と自体を把握できずに長らくとまどっていた。
結果を述べると、僕らは失敗したのだ。
人生に失敗し、死ぬことも失敗し
おもいどおりにならないことを嫌と言うほどたたきつけられた。
看護師の人によると、僕らの睡眠薬での自殺はほぼ無理だそうだ。
気候が良かったことと、発見が早かったので、思いの他軽くすんだようだ。
真冬や雪山ならば成功したかもしれないが
ただ、多くの錠剤を呑んでも死にはいたらない。
それが今の薬なのだと言うことだった。
看護師の人は僕に同情的なことをいいながらも
何人もがあそこで死のうとするから困るのよねと本音ももらしていた。
僕は警察の人にこっぴどく叱られ、いろいろ事情を話したら
今の勤め先には内緒にするので、こんなことをしないようにと説教され
精神科のカウンセラーを受けるようにと言われた。
ナーガさん、カオルさん、ソニアさんも無事なようだ。
だが、家族が来てるので、僕は彼らに会いにいけずに
また鉛のような日常にと押し戻されたのだった。
幸いにも長期休暇を取っていたので、アルバイト先にはばれずにすんだし
大家さんにも迷惑をかけずに済み。
僕は何もなかったかのように日常にまいもどっていった。
ただ、お金や仕事など問題はまったく解決したわけではない。
いずれにせよ、死かホームレスかが僕の選ぶ道でしかなかった。