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樹海2

僕は思うのだ。

 どうして僕らは死ぬしかないところまで、追い込まれたのか。

 負け組はやりなおすチャンスも無く、生きて行く権利さえないのか?

 過去を何度も悔やんだ。

 だが取り返しはつかない。

 僕は自分のこれまでの半生を思い出した。

 もう終わりなんだから一生だろう。

 走馬灯のごとくと言うのは本当だ、辛い思いや楽しかった過去が洪水のように蘇りあのころに戻りたいと叫んでしまいそうになる。

 僕は親を早くに亡くしたので、叔父の世話になっていたが、申し訳なかったこともあり、高校を出てすぐ就職を決めた。

 読書が好きだったことと、高卒の僕でも正社員で働けると言うので、とある書店の正社員になった。

「今日の入荷チェックお願いします」

「レジの釣り銭補充終わりました」

 開店前は商品の入荷や、レジの備品補充などやることは山積みだ。

 立ち読み防止のために、雑誌やまんがをビニールで包まないとならない。

 そんなこんなで時間がかかる。

 最近はモラルが欠如している客が増え、立ち読みして買わないならまだしも、本を破ったり汚したり、本の上に平然と濡れた傘を置く者もいる。

たくさんあるのでたいしたことはないと思っているのだろうが、一冊ごとに値段のある商品なのだ。

 金も払わず汚すことは許されない他人の所有物なのだが、そんなことさえ分からないのに、客だといいつのる。

 また万引きも増えた。

 古書店が拡大路線を引き、増加したため、そこに売るため、万引きするのだ。

 それらに対処する置き位置も考えないとならない。

 あっと言う間に開店時間になり、あわただしい一日が始まる。

 雑誌の付録つけやらで。まだ準備のできていないものを優先し、在庫確認や棚整理などしたあと、発注などの業務をし、レジの応援など細々とした作業で一日を終わる。

 重要なのは発注で新刊がいくら売れるか、目玉となるものは何冊売れるかが問題だ多すぎる過剰在庫になるし、少ないと売りの逃してしまう。

 かといって本の問屋や本部が希望どうりに配本してくれるとは限らない。

 過去の実績や話題性、立地や客層も配慮し仕入れする。

 本社の指示もあるが、こっちの意向が当たった時はとても嬉しい。

 書店の仕事は、僕にとって最高に楽しい仕事だった。

「お疲れ様。今日の歓迎会はいつもの所で、先に行ってるよ」

 閉店後の雑用をこなしている僕に店長が声を掛けてきた。

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