表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/33

樹海17

 チャットと掲示板のお知らせで、僕らの樹海逝き&オフ会が決まった。

 参加者はナーガさん、ソニアさん、とんさんの他にネットカフェ難民のイサオさん

 そしてまだ二十歳になったばかりのカオルさんだ。

 年の若さに反対したが彼女の意志は曲げられなかったし、人間を使い捨てる社会にどんな未来があるのか?生きて行く価値や希望があるのだろうか?

 希望のない未来を生きて行けと強いるのはただの偽善だろう。

 苦しむだけ苦しんで生きて、さらに絶望を与えられるのは残酷だ。

 先の見えない破滅よりも、自分で幕を下ろした方がいいだろう。

 みんなと約束して、もう後戻りはできない。

 だが、僕は不思議と安らぎを感じた。

 もう苦しむことはないんだ。

 明日のことを思うことも、絶望も、僕という世間では不要な存在と共に消える。

 この苦しみ多い世界は誰も僕らの存在を許してはくれなかった。

 排除されるのみだ。

 平凡な幸せなんか夢のまた夢、、目が覚めれば冷たい現実しかない。

 僕は部屋を整理してその日を待った。

 連絡にいるので奮発して携帯を購入した。

 僕にすれば大金だが、今はあとに残すものはないのだから。

 後始末を頼むための大家への手紙にいくばくかお金を添えてテーブルに置くと、携帯と財布だけを持って家を後にした。

 いままでにない爽快な生まれ変わったような気分で待ち合わせの場所へと向かった。

 待ち合わせはファーストフードで、とんさんが樹海ツアーと書いた紙を持っている。

 南の島を思わせる写真に樹海ツアーと書かれた紙は携帯に送られた画像で確認した。

 その心配りがとんさんらしい。

 まるで本物の楽しい旅行のような気分にさせてくれる。

 どんな人達だろうと言う不安と期待を胸に店内に踏み込んだが、それらしい集団はいない。

 僕は一瞬これがたちの悪い冗談で、からかわれていたらどうしようと不安にかられた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ