樹海16
現実に痛めつけられていない者は、ただおもしろ半分やストレスのはけ口に書いているのだろうが、僕らの心からはそのたびに血が流れるのだ。
無視しても執拗に書き込みを繰り返す者は、管理人さんが排除してくれる。
痛い思いもするが、ここの住人になって今はもうここから離れられない。
僕の場所はここにしかないのだから。
破滅はだんだんと近づいている。
だが足下の深い淵を見る勇気はまだなかった。
虚構と言われようと、甘いとあざ笑う連中がいようとかまわない。
それに彼らだってこちら側に堕ちてこないとも限らない。
僕らはいろんなことを語りあった。
プライベートから政治のことやこの世界の暗さまで、何でも話すことが出来た。
彼らは、同じ傷のもの同士だからか、親身になって聞いてくれる。
嘆きや悲しみを受け止めてくれた。
顔を見せないでいい分、惨めな自分を飾ることもなかったから喜楽にさらけ出せたのだ。
だがそれでも限界は来ていて、、
僕には精神的な余裕も、経済的な余裕もなかった。
「そろそろ樹海へいきませんか?だんだん存在することに耐えられなくなってきました。オフ会もかねてってことで」
口火をきったのはナーガさんだった。
僕は一も二もなくその提案に乗った。
「いいですね。僕もそろそろかと」
他のメンバーも声をあげた。
「私もお願いします」
「イザ!逝かん樹海へ!」
わいわいとにぎやかに常連のメンバーが参加を表明した。
常連以外はまだ切迫したものがなかったのだろう、一歩引いていた。
だが、それでいい、、
まだ居ることがある者までがこちらに来ることはないのだから