樹海13
ナーガさんと言う人は、辛口のコメントをする人で、でもいろいろと知っているようだ。
三十代前半で、二年前就職難民だった彼は安定した職が欲しくて、フアミリーレストランの系列に就職したが、
半年もしないうちに何故か店長の辞令をもらったらしい。
喜び勇んだ彼は懸命に働いた。
人員が足りない分は自分が寝る間も惜しんで働いた。
残業代が一切払われなくともがんばり、最後に倒れ入院し鬱病を併発し退職した。
名ばかり管理職と言う使い捨て社員だった。
二十代後半で病気持ちの彼の再就職への道は険しく、社会への不信感で立ち直れでいるようだ。
とんさんは僕と同じ三十代半ばのニートだ。
公務員になろうと試験を受けたが失敗し、三十代になって就職を探しているが、なかなかなく、
フリーターを続けたが、身体を壊し結局は親に今は世話になっているらしい。
そのことがつらいが、まともな働き口はない。
親が死ぬ時が自分の最後だというのが口癖のようだ。
探せばいくらでも仕事はあるという、しかし半端な仕事をしていては、もっと年がいった時に、どうなるのか?
そんな生き方を選びたいものはいない。
がんばれば認められるなど妄想にすぎない。
甘えだというが、恣意的に企業が使い捨ての奴隷を求めているだけで
がんばれば認めてもらえるのは、運のいい人間だけだ。
今はマスコミや経営者は人は切り捨てるのが重要だと思っている。
こんな風潮では、正社員であっても安定雇用はない。
それなのに、経営者に近い位置のにいれば法外な金額のボーナスを約束される。
経営者側はたとえ過労死しようが、クビにされようが自己責任と言ってはばからず。
自分の経営の責任は取らないのだ。
メンテナンスしないで使い続け、機械のように壊れれば捨てる。
何の人情もないこの世の中で、何を信じ、希望を持てばいいのか。
起業しろとか人は簡単に言うが、そんな才能が全ての人間にあると思っているのか。
世界を変えようとしても、僕たちの声は届かず、世界は一ミリも動かない。
そんな閉ざされた世界で、僕らにはネットしかなかった。
僕は食費を切り詰めてでも、インターネットを払い続けた。
食べたいと言う気持ちはとっくに消えていたし、食べても味はなかった。