樹海11
僕は樹海のメンバーが僕と同じ負け組だと思い、軽く見ていたのかもしれない。
だからこそ、人には言えない悩みを簡単に書き込めた。
「僕がバカだったのです。でも、それしか仕方なかった、いや思い浮かばなかったんです。
株で負け続けている時にはもう冷静に判断できず。あとから後悔するばかりで」
「金が余ってるやつの遊びなんだよね。冷静になれないから勝てない。追加資金もないし、デイトレは
損きりするたびに金が減って行くし、儲かる奴が何人いるか、儲かってるってプログ自体あやしい」
株に詳しそうなとんさんと言う管理人さんが書き込んで来た。
「そうですね」
もっともな意見に気持ちがへこんだ。
簡単に儲けているような個人日記だが、本当に素人かどうかも怪しいし証券会社の宣伝かもしれない。
またはアフリエイトのバーナーをクリックさせるためにいい加減なことを書いているのかも。
「景気のいい時は誰でも儲かる、でも悪くなればいっきだよ。その時に株を持ってる奴の負けだな」
誰かかババをつかまされるのだ。
僕は何の仕組みも分かってないただの鴨もいいところだった。
あとからすれば、ああすればとか思っても、その時は頭が真っ白でどうも出来ない。
僕は破滅へ落ちていくのをどうすることもできなかった。
「まあ、今回は世界中が損してるんだから、まだましと思ったら」
ソニアさんと言う常連の女性が声をかけてくれる。
「でも、首が回らないのは同じですよ」
「そうね、やり直しができればいいけれど、稼ぎ返すったって、仕事が無いものね。年齢ではじかれるし」
そうだ、またがんばればと言っても年齢による。
いい仕事など、はなからあきらめてはいるが、貯金など出来ない仕事しか僕らには回ってこない。