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86、家臣の評価が高すぎる


「ちょっとー、やっぱり不満があったんじゃん!何かあるなら言ってよ。友達でしょ!」

「ええと次の会談の予定は、」

「無視!?」


ひどい。ひどいぞレン、あんまりじゃないか。

私はむくれながらビロードのソファの上に正座する。一週間ぶりに会ったんだから、もっと構ってくれたっていいのに。


「レン、レンってば!」

「なんだよもう、さっきからうるさいな。三日間は城に泊まるんだろ、何かあったらその時言えばいいよ。はいさっさと出てった出てった」

「ひどいー!! それが心の友に対する態度なわけー!」

「いえーす、あいどぅー」


こんの……っっ。真面目に答えろバカ勇者!嘗めきった答えに、わなわなと拳を震わせる私。

どうしてそんなに不機嫌なの!?

私は深呼吸して怒りを収めると、レンを見る。


「ねえレン、戴冠式が終わったら、見せたいものがあるんだ。実は、崩落した魔王城で、大切なものを見つけたの」

「大切なもの?」

「うん」


頷きながら、ふと顔を上げる。

そこには、不機嫌さはどこかに飛んで行ったような、きょとんとしたレンの整った顔があって。

私はゆっくり微笑んだ。


「じゃあねレン、いろいろ公務とか頑張って。暇な時を見計らって遊びに行くね」


そう言って、レンに背を向ける。

私が部屋から一歩足を踏み出したその時、レンに腕を掴まれる。


「……愛美、ちょっと待って」

「え?」

「……戴冠式のドレス。仕立て屋が来たら、一緒にデザインを考えよう。魔王と勇者が一緒に考えたドレス……オツなもんだろ?」


私は少しだけ目を見開いて、大きくうなずいた。


「うん、そうする。ありがと」

「ん」


レンが私の腕を離す。私は笑顔のまま再び背を向ける。

……ねえレン、私が無事に影夜国の女王に……魔王になれたら、


君の昔の名前を……教えてくれる?






「……っあの、」

「はい、なんでしょうか、魔王陛下」

「やっぱり、似合ってないと思います……っ、ああああの時は、勢いで仕立ててもらってけど私地味な服の方がっ」

「ええと、この髪飾りをここに」

「無視!?」


完全スルーを決め込むランスさんの部下、アリシアさん。

あの後、彼女はランスさんと共に私に謝ってくれて、彼女は再び私に忠誠を誓ってくれたのだ。

操られていたし、それを抜きにしても、城を脱走した私にも非はあるのに、アリシアさんもランスさんも、あれは止めなくちゃ切腹でもしそうだったよ……。

でも少し仲良くなってきたと思ったら、少し扱いが雑になってる気がする。


「ご心配なさらずとも、とてもよくお似合いですし、お綺麗ですよ。まさに魔王にふさわしいお姿です」

「お世辞をありがとう!! でも正直本気で着替えたいと私は思ってるよ!」

「何をおっしゃっているのですか。マナミ様はご自分が思っておられるよりも、ずっと可愛らしいのです。まさに磨かれて輝くダイヤモンドの原石、」

「やめてそれ以上褒めないでぇぇぇ!!!」


ランスさんの部下の人は異様に私に対する評価が甘いから、信じないようにしているのだ(この人たちを主に“ランスロット族”という)。

そもそも美人に褒められても嬉しくないからぁぁあ!


「魔王陛下、そろそろお時間です……おや、良くお似合いですね。さすが陛下、まさに磨かれて輝くダイヤモ、」

「そのくだりもういいから!!」

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