インタールード:とある記者の手記
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【アシュタルト大史】
・アシュタルト歴806年某月某日
聖ミスリル新聞から、とある記者の手記より
例の戦いによって、影夜国王都中心部にある魔王城、および近辺が壊されてから、今日は十日目になる。
その後、休戦協定を破棄した“智の王”ランスロットが、十二代目である先代魔王に操られていたことが発覚。そしてその先代魔王の亡霊を、次代魔王が討伐したということもあり、速やかに破棄された休戦協定は結び直された。
そして、勇者にして、我が聖ミスリル統一王国の第一王子殿下が次代魔王に救出され、先代魔王討伐に協力したことが明らかに。
元勇者の国王陛下は、その功労により、第一王子・レオナード殿下に、常例よりはやく、王位継承権を与えることを決定する。勇者が王位継承権を与えられれば、これも早急に停戦協定が結ばれることになるだろう。
また、神聖文字で記された魔剣の扱い方の石碑、悪魔文字で記された聖剣の扱い方の石碑の発見で、始祖の時代の歴史の大幅な見直しと、新たな石碑の捜索が検討されている。捜索は恐らく、人間と魔族で結成された研究班が動くと思われる。
加えて、歴史を秘匿していたことが露見した教会の一部は、教会の大司教にして聖女である、アリエノール猊下自らが断罪。
このことをきっかけとして、教会の内部分裂は進んでいく懸念がされている。
そして“獣の王”アルフレッドは、次期魔王命により、東大島の獣王領を人間側に返還。
その中のスレイブヤードの捕虜は解放され、スレイブヤード自体は、戦争の慰霊の場になることになった。
両王府はこれを、事実上の終戦だとみている。
これで少しは、長年の二種族間の確執はなくなったのかもしれない。
まだ残る謎は多いものの、二種族はこれから確実に歩み寄り、手を取り合っていくだろう。
____そしてこれは間違いなく、
歳若い身にして影夜国の女王となり、
魔王就任後すぐに“ ”と謳われることになる、
マナミ・イチノセ魔王陛下の英雄譚となるだろう。




