表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/93

67、竜の王

そして。

ぐっ、と足を踏み出したその瞬間だった。

膨れ上がった魔力が、暴風となって私達を包み込んだのは。


「「うわっ!!?」」


凄まじい風に煽られ、私達はいとも簡単に吹き飛ばされる。こんな立っていられないほどの暴風。台風の暴風域の中にいるみたいだ。


『何奴だ』


____大地を揺るがすような、威厳が籠る低い声が頭の奥にきぃんと響いた。ずき、と脳の芯が痛むように、奥に確かに存在する“何か”の強さを悟る。

先に口を開いたのはレンだった。


「俺は、第12代目聖王の跡継ぎにして、現勇者のレオナード・ヴィフ・アルジャン!

初代魔王の石板を読み、真なる勇者としてここに来た!」

『何』


威厳の声に驚いたような色が交じる。

負けていられない。


「私は13代目魔王候補の、一ノ瀬愛美! 人間と魔族の戦争を終わらせるため、ここに来ました!」

『……成程』


ばさり、と翼が空気を叩く音がした。

風が再び起こり粉塵が舞い上がるが、私達は足を踏ん張ってその場で耐えた。

……1歩でも動けば負けだ。

ここで聖剣アポロンの守護獣である(ドラゴン)に認めてもらうことは、きっと何よりも強みになる。


『魔王と勇者。その立場の者達を見るのは、初代以来であろうな』


ふわりと、音を立てずに、目の前に着地するのは。

そばにいるだけで圧倒されような覇気を持った、巨大な幻獣。


___不死鳥と並ぶ、唯一無二の古代の魔物。


「すげ……これが竜の親玉か」

「……っ」


魔物と魔族の女王が私のはずなのに、腰が引けてしまう。

でも、どうしようもなく憧れる。私も、こんな、威厳に満ちた王になれれば……!


『よかろう。勇者と、次代の魔族の王よ。お前たちを資格を有する者と認めてやろう』


重厚な声で言いながら、竜は黄金の目をこちらに向けた。不死鳥と同じ、太陽のような色をした、力強い眸だ。


『真なる勇者を名乗るのならば、人間の国の王子よ、見事聖剣をその手にしてみるがよい。

だが出来なければその命、ないものと思ってもらおう』

「「えええええ!!?」」


ここには別に、聖剣を抜けるかどうか試しに来ただけであって、手に入れるために来たわけではないのに。

なぜなら今、レンは手首を怪我している。……そんな状態で、果たして聖剣アポロンを抜けるのだろうか。


「ちょっとまて竜! 俺達は別に聖剣が欲しいわけじゃ、」

『何か不服が?』


うわ……これ断れないやつだ____……ッッ!


私達は、2人で「どうする」と目で会話し合う。

しかしどうするかなんて議論しても、解決になんかならない。

逃げても死、失敗しても死ならば……、


「行けレン!」

「愛美お前無責任に、ちょっ、押すなバカおい、」


ごたごた言うな!

思いっきりレンの背中を押して、私は竜を睨みあげる。


『挑戦に異論はないようだな、若き魔王候補よ』

「ありません!」


見てなさい竜。レンはすごいんだから。

人間の王子で勇者で、白金色の髪で、聖力の術だって使えて、元日本人で、

顔がかっこよくて顔がかっこよくて顔がかっこいいんだから!!


……レンが言う。


「顔だけかよ!」

「耳悪いの!? 他も褒めたでしょ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ