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54、一回戦突破?

速くなる鼓動をおさえながら、私は学者さんの前に立つ。

そしてギロチン台に首をのせるような気持ちで彼らの言葉を待った。

……そして。


「なんと素晴らしく斬新な解答だ……!」


…………。

………………。

………………………………はい? どういうこと?

心の底から困惑する私に、学者さんは目を輝かせたまま続ける。


「我が国の歴史を、戦術や革命などを、東大島の主食の穀物の料理法という、独自の解釈であらわしているのか……!!」


……は?

思わずレンの方を振り向くも、彼も唖然とした表情のまま、間抜けに口をぽかんとさせている。

観客はどよめきつつ、惜しげもなく拍手をくれる。しかも東大島の主食って、米なんだ、へえ~……。


……いやいや、そうじゃなくて!!


「斬新で実に読みごたえがある! こんな歴史的解釈があるとは、驚きだ」


私も驚きです。ないからねそんなの。


「言葉の使い方は少々稚拙で、言葉足らずな部分もある」


そりゃそうだ。だってレシピだし。

歴史の記述解答じゃないし。


「現在トップクラスの得点者たちほど点はあげられんが、高得点に値する回答だとわしは思う。どうだね、諸君」


私の解答を読んでいた人たちが、一斉に頷く。

え、いいの? こんなんでいいの?

騎士さんたちが、悔しそうにしてるよ。どうしよう、罪悪感で心臓が潰れそうだ。


予想外の好意的な解釈に呆けた表情のまま礼をしてレンのもとに戻ると、彼も私と同じくらい呆けた表情をしていた。


「お前、運持ってるよな……。試験のヤマ勘とか、当たる方だろ?」

「まあ、少しは当たるけど……運は別によくないよ。商店街のくじ引きとか、ティッシュしか当たったことないし」

「いや、だって……しかも愛美、米の炊き方書いたの……?」

「だって、これしか思いつかなかったんだもん。カレーの作り方の方がよかった?」

「やってることは似たようなもんじゃねぇか……」


そんな会話をしているうちに、審査員の学者さんたちは解答の総評や、採点基準を発表する準備を整えたようだ。

私達は再び姿勢を正すと、表情を引き締める。

……ついに発表されるんだ、1回戦を突破したチームが。


「____これで、採点は終了しました」


と、年配の学者さんが言う。


「今回、点を取れなかった者は、聖ミスリルの歴史の華々しさを褒め称える文か、歴史的考察をまじえなかった稚拙な文章しか書いていなかった者だ。選ばせてもらったのは、歴史に対して平等で公平な目を持つ聡明な者となる」


なるほど。

教会主催のだから、とりあえず故郷の歴史を褒めておけばいいと思った人たちがたくさんいたわけだ。

まあ、私が書いたのは米の炊き方だったけど。今回はそれが功を奏したと思いたい。思っておこう。


「それでは、1回戦突破したチームを読み上げる」


学者さんが、手に持った書類を声に出して番号を読んでいく。そこには、もちろん絶賛された私たちのチーム番号もあって。

……私たちは無事に1回戦を突破できたのだった。


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