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47、教会

「あ、あの……」




占い師にも騙されたのに懲りないな、なんて考えつつ……ゆっくりと近づいていって、私はおそるおそる騎士の人に声をかけてみる。

大丈夫。この国の王子であるレンが行け、と言ったんだ。お殿様に接するように、跪いて接しなくちゃいけない作法とかはないはず。

……もしあっても、すぐに「たたっ斬る!」とはならないはずだ。


……もしなったら、レン! 末代まで祟ってやるからね!


「なんだ、小娘」


返ってきたのは、尊大だがどこか暖かみのある声。

命拾いしたことを安堵しつつ、私は顔を伏せたまま聞いた。


「不躾ですが、聖王騎士団の方々が、どうしてこの闘技場にいらっしゃるんですか? レ……じゃなくて知り合いによると、騎士団の方は城にいるはずでは、と……」

「ああ、知らないということは、お前は王都の人間ではないな」

「は、はい……」


どういうことだろう。王都にだけお触れみたいなのが回ったのかな。


「地図と石板が見つかったのだ」

「……え?」

「聖剣が封印されている、という洞窟を示す地図と石板がな」


聖剣の在り処を示す、地図と石板……!?

それが、見つかった……!?

聖剣アポロンは、正に今私たちが求めているもので、王都を訪れた真なる目的だ。なんとしてでも、手に入れるか、その内容を記録しなくてはならない。

大丈夫、実物がなくても、スマホがある。

スマホがあれば、書面や石板の写真が撮れる。

カメラのないこの世界で、スマホを使うのはルール違反かもしれないけど、なりふり構ってる暇はない。

それに大事に使ってるから、まだ電気の残量は残ってるんだからね!


「……あの。一つお尋ねしてもよろしいですか?」

「なんだ」

「見つかったならば、どうして国王陛下に捧げないのですか?」

「地図と石板を見つけたのが、教会の人間だったからだ」


教会?

教会が見つけたら、なんで国王陛下に渡さないの?

……しかし聞きたかったが聞けなかった。これが、人間ならば誰でも理解できる事柄だったとしたら、困る。


「そうなん、ですか。それで、あなたたち騎士団が陛下のおそばにおられない理由は?」

「教会は、その石板と地図を、闘技場の試合の優勝賞品にすると発表したのだ。聖王軍としても、騎士団としても、聖剣アポロンは必ずや手に入れ、第一王子殿下または国王陛下に渡さねばならない。……そのために我らはここにいる」


青い星の鎧の騎士さんが、おもむろに闘技場を見上げる。

私はそれに倣って闘技場を見上げながら、頭の中では必死に情報を整理していた。


……ええとまず、教会とやらが地図と石板を手に入れた。そして、なんらかの目的のために、それを闘技場で行われる試合の商品にした。

国王陛下お抱えの騎士さんたちは、なぜかその地図を渡すことを請求はできなくて、賞品となった地図と石板のためにここに来たってことだ。


私は、お礼を言ってレンのもとに帰っていった。


「……聞いてきたよ。か弱い女の子の私が命を懸けて情報を仕入れてきたよ。山より高く海より深く感謝してね」

「恩着せがましいな、おい……。

わかってるよ、ありがとうございましたって。それで? 肝心の情報は?」


色つき眼鏡をかけたまま、レンが私を見る。

……ふふん、聞いて驚け!


「なんと教会が、聖剣のある洞窟の場所を示す石板と地図を、手に入れたんだって!」

「げッ……!?」


……あれ。

大喜びすると思ったのに、案外反応が薄いな。


「どうしたのレン。朗報じゃない」

「そりゃ、朗報だけど……。手に入れたのが教会か。それはそれで、まためんどくさいな」

「え? どういうこと?」

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