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33、謎の石碑とどんでん返し

後ろからごぅごぅと吹雪が吹き付けてくる。氷狼たちの仕業だ。焦げ茶色のフーデッドケープは恐らく、霜が降りたように白銀になっているだろう。


「レン! なんか元気の出る歌歌って!」

「ララララララー、ラララララーン」

「それフ■ミマのテーマだからぁぁぁ! コンビニ思い出したらお腹空いてくるでしょー!?」

「的確なツッコミができるなら余裕のある証拠だ! ……っと、来るぞ!早く伏せッ、」


今にも飛びかかってきそうな氷狼たちを見て、レンは最後まで言わずに私と共に地面に伏せる。

痛みを覚悟して、私はぎゅっと目を閉じた。

___閉じた。


……あれ?


恐る恐る目を開けて、大分暗闇に慣れてきた目を後ろに向ける。

するとそこには、地面にお腹をつけて、『伏せ』の体勢の氷狼たち。

……えっと。


「……魔王が命令したからじゃないのか?」

「いや、伏せって命令したのレンだから」


……しばらくの沈黙があった。

そしてレンが非情にも、冷淡な声で告げる。


「壁に頭突きして、気絶してろ」


____次の瞬間には、ドゴドゴドゴ、ビキビキッ!という肉弾音(?)。

……あとは皆様の想像にお任せします。





「はぁ、はぁ、はぁ……っ、階段、まだなの!?」


だいぶ通路を走ったような気がするのに、いつまで経っても地上への階段に辿り着けない。

どうしてなの? 地下2階とそう構造が変わらないなら、すぐに階段に辿り着けるはずなのに。


「魔力で何か仕掛けられてたのか……?」

「そんなの知らないよ! レンの聖力は何か感じ取ってないの?」

「生憎、まったく。通路の向こうに本当に階段はあるのか……?」


レンが呟いたそばから、看守が蝋燭を持って駆けてくる。あわてて屈んで身を隠し、息をひそめた。地下3階にあったような、人2人が横にならべないくらいの狭い通路だ。


「どうしよう、暗いとやっぱり道もわかりにくいね。暗闇に目が慣れてきたとはいえ……」

「とりあえずどこか、一息つける場所がほしいな」


確かにそうだ。

さっきから追われて逃げて走って、心休まるどころか、作戦を立てる暇もない。


「とりあえず、一旦はここで少し息を整えて……、

え」


そう言って、レンが狭い通路の行き止まりに手をついたその時だった。

その行き止まりの小さな壁が回転し、レンがその中に吸い込まれていったのは。


な、何この壁!魔法!?

……のわけがなく、私がレンのように行き止まりの小さな壁に手をついて体重をかけると、同じように私は壁の向こうに放り出された。

つまりここはどんでん返し……回転扉になっているということである。


「……ってて……ここ、どこだ」

「レン、頭大丈夫?」

「なぁ、それどういう意味で聞いてんの?」


目の下を引き攣らせるレンを、私は「まあまあ」と宥め、辺りを見回す。

……小さい教室くらいの広さはある。

やはり中は暗く、何があるかはよく見えないが、あんな狭いところにどんでん返しがあったのだから、ここは魔族にとって隠したい場所なのではないか。


「なんだあれ……石碑?」

「もしかして、悪魔文字の……? それなら読める、レン、明かりはある?」

「スマホがあるだろ」


冷静な声で返されて、納得した私は自分のカバンを漁る。

……でも言い方ちょっと冷たくない?

頭大丈夫? って聞いたことまだ怒ってるのかな。悪意が全くなかった……とは言わないけれど。


「それに悪魔文字なら俺も読める」

「え?」

「昔執事が、『これは忌まわしい悪魔文字です殿下』とか言って極秘記録を見せてくれたんだ。英語だろ? 前世じゃ結構英会話習ってたし、読めるよ」

「英会話! それは心強い」


私がわからない単語があったら、教えてもらおう。……そう思いながらスマホで文字を照らすと。

蒼白になったのはレンだった。


「これ……神聖文字の石碑じゃねぇか……!」

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