表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/93

19、急転直下の一日

「陛下、そろそろお部屋にお戻り下さい。明日から、戴冠式に向けてやって頂きたいことが山ほどあるのです。お早めにお休み下さい」

「は、はいっ」


ランスさんの言葉に、私はハッとして慌てて立ち上がった。そして、立ち上がってから、器が食べっぱなしだということに気づく。

片付けした方がいいかな、と思っていると、


「良いのです、陛下。これは私共メイドの仕事ですので」

「今日は楽しかったです、陛下!」

「またおしゃべり致しましょうね!」


な、なんていい子達なの……!!

新前魔王(しかも仮)で、ドジでマヌケな私を、こんなに信頼してくれるなんて……!

でもでも、私はそんな立派な人間じゃないんだよ。罪悪感で胸に鈍痛が……。


するとランスさんが肩をすくめて、短く「ウンディーネ」と言った。

え? と思う間もなく、軽く風が吹いたと思うと、そこには、小さな、水色の肌と美しい羽根を持つ妖精みたいなものが現れた。

え? なに、なに? 何この生き物、と呆然としている私をよそに、ランスさんが水色の精霊達(?)に優しく命じる。


「彼女達に癒しを」


そして精霊達はこくん、と頷くと、小さな右手を高く掲げた。

……途端、辺りが水色の光に包まれて、メイド達の顔色が良くなっていく。

うわぁぁぁ、すごい……!

私は思わず拍手をしたくなる。治癒とはまた違った“癒し”を、ランスさんの家来みたいな精霊が行った、なんて。

かっこいい……!!


ほわあぁ……と感激していると、ランスさんが消えるように命じたのか、いつの間にか水色の精霊達……ウンディーネ達はいなくなっていた。

そしてメイドさんたちに「ありがとうございます!」と唱和されているランスさんは、私を見ると優しく笑った。


「さぁ陛下、寝室へ戻りましょうか」





しかし。

……寝室に戻って、寝転がってみても、眠ったばかりだからかほとんど眠くなかった。

真っ暗になれば、ベッドが黒かろうが何色だろうが関係ないのかもしれないな、とふと思う。


「……変な1日だった」


そして、何よりも長い1日だった。

……だって、夕方まで美咲先輩と出かけてて、そこで車に轢かれて死んで、気がついてみたら昼だったんだよ?

そこで矢に射られるわ、炎から逃げ出すわ、魔王だなんて言われるわ……、

私にとってはてんてこ舞いで急展開、もっと言えば急転直下な1日だったわけだ。


「……本当に、私、魔王なのかな」


普通の女子高生で剣道部員のはずだったのに、たった一日にして魔王になった私。

出来事全てが夢のようであり、現実のようでもある。正に夢現だ。


「……明日、朝早いんだっけ」


……なら、やっぱり少しでも早く寝なくちゃね。

私はそう思いながら、目を閉じた、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ