表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/93

14 、魔剣ディアボロス

「でぃあぼーろ?」


なんだその、乳児用のお菓子みたいな魔剣は。


「いいえ陛下、ディアボロスでございます。今は宮殿の奥深く、悪魔文字の石碑と共に黒曜石の台座に置かれています」

「魔剣……ディアボロス」


言いにくい名前だな、と何度か口の中で反芻する。

もしそれを手にする機会があって、もし勇者と対峙する時があるならば(会えたらすぐ命乞いするつもりなので、ないとは思うが)、その時に剣の名前を噛んだりしたらムードが破壊される。多分。


「魔剣の抜き方には作法があり、共に置いてある悪魔文字の石碑には、その手順がかかれています。戴冠式の際には、それを抜くことで即位を証明するのですよ」

「ほうほう」


作法が悪魔文字で書かれている石碑、ねぇ。

悪魔文字……。

……って読めるかあああ!!!


「ランスさん、私、悪魔文字なんて読めません!」

「何をおっしゃいます。魔王陛下ならばその身に流れる血により、必ず読めるはずでございますよ」


あなたこそ何をおっしゃいます。

私がそんな、悪魔文字なんて読めるはずないじゃないか、私は人間なんだから。

……はっ、待てよ。

私はそこで我に返った。

……これで、悪魔文字が読めなかったら、私は魔王ではないと証明されるのでは!?


もし読めなかったら身の危険があるかもしれないという思考は、最早私にはない。


「ランスさん、なら、その魔剣と石碑、1度見てみたいです」

「陛下」


そう仰ってくださると思っていました、という顔をするランスさんに若干引きつつ、私は続ける。


「ですから、連れていってください。その魔剣があるところへ」

「御意のままに」


四天王のリーダー……“智の王”は、恭しく跪くと、深々と頭を垂れた。

そして、他の四天王に自分の領へ帰ってよしと言うと、私とランスさんは宮殿の奥深くへ、魔剣と悪魔文字の石碑を見に行くことになった。

……連れてこられたのは、暗い地下室だった。

昼間ではあるが、蝋燭1本の明かりと、小さな天窓から漏れてくる光じゃ、やはりとてつもなく暗い。

湿っぽいし……怖いし……。

私がげんなりしていると、ランスさんがランプに火をともした。

少しだけ明るくなる地下室。

だが、恋しいLED。どっちかっていうと、やっぱり日本に帰りたい。


「陛下、これが魔剣と石碑でございます」


ランスさんが手で指し示したのは、黒い台座に刺さった剣と、それから、灰色の石碑。

これが、魔剣ディアボロス。

どこぞのインチキ占い師(私が言うことではない)が確か、ラッキーアイテムは魔剣がどうのと言っていたが、とてもそんな雰囲気じゃない。


……私はゆっくりと魔剣に歩み寄る。

しかし何か、怖いものに威圧されるみたいな悪寒を感じ、手を伸ばすことはできなかった。


「……さすが陛下でございます」

「へ?」


突然響いたランスさんの声に、振り返る。

え、触ることも躊躇われたのに? なにがさすがなのか、わからない。

しかしふと、彼の顔色が心なしか青いのに気づいた。何があったんだろう、と思うと、ランスさんが答える。


「私には……これ以上その魔剣に近づけそうにございません。即位するより前に、その魔剣にそこまで近寄り、平然としていられる。それが、魔王の魔王たる所以ですよ」

「え……」


近づくことすら、できないんだ……。

触れないことは、即位前の魔王として恥じることではないのか。

そこまですごいのか、この魔剣は。


「先代様も、即位された身にも関わらず、それを持つことには苦労されていました。魔王城に運ぶことも、大仕事だったのですよ」

「そう、なんですか……」


ランスさんは頷いた。そして再び、今度は石碑を指し示す。


「では陛下。早速、その石碑を読んでみてください。悪魔文字は、魔王陛下のみが扱える文字。貴女が真なる魔王という証拠は揃っています。必ず読めるはずでございますよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ