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サービス開始前夜

初めましての方が多いと思います。春夏秋冬と申します。

初めてのオリジナル小説なので至らぬところもあるかも知れませんが、温かい目で見てください……


2016/9/4、大幅修正。

2話分をひとまとめにして、内容も一部変更しました。

10年前に軍事用として確立され、医療用、教育用……とその活躍の幅を広げてきたVR技術。来年の1月1日日本時間午後1時、多くの人々が待ち続けたサービスが開始される。


VRMMORPG『Next Wizardry Online』略して『NWO』。


日本では「ネクウィザ」とも呼ばれ、広告が出た半年前からのフィーバーが未だに続いている。既に2ヶ月前のアメリカでのβテストでの情報は日本にも来ている。

アメリカのβテスター曰く、

「多くの種類のジョブがあり、ジョブの進化も確認された」

「近年のコンピュータRPGには珍しくレベル制度が無い」

「ステータスupは木の実というドロップアイテムと数多くの装備で行う」

「多くのスキルがあり、ステータス強化やジョブの自由度も高く、自分好みのキャラが作れる」

とのことだ。

公式情報で印象的なものは

「ワールドの大きさは地球4つ分、安全なフィールドの総面積でさえ地球半個分はある」

「自身でスキルを考えて申請すると運営でのバランス調整を経てスキルが実装されるシステムを構築、これらのスキルは通常とは違った手段で入手可能」

「多くの隠しスキル、隠しジョブがある」

といったところだろうか。


Next Wizardry Online事前攻略サイトより



俺、瀬島直樹は重度のゲーマーだとよく言われる。俺自身も割と認めてたりする。

そんな俺は今、世界初のVRMMORPGであるNWOのソフトを発売日に買い、いよいよ明日に迫るサービス開始に備え、事前攻略サイトで情報を確認しながら年越しそばを食べている。

そう、今日は大晦日。元日にサービス開始であるNWOの準備期間最終日である。

本当なら自室に篭ってVR端末を使い、情報を集めたいところなのだが……

「話聞いてます?」

向かいに座る幼馴染み、アスこと鷲谷明日が許してくれない。

「なぁ、部屋に戻っちゃダメか?」

「ダメです」

即答かよ……ノートパソコンだと情報整理なんかが若干やりにくいんだが。

「今年はお父さんもお母さんもいないから2人で年越ししようって話しましたよね」

「したな……」

「ならここで年越しするのは当然のことです」

「話はしたがOKした覚えは無い!」

そうだ、俺はこんなことを了承した覚えは無い!

「約8年前のことになりますが」

「……」

「私『お父さんとお母さんがいない時はずっと傍にいてほしいです』ナオさん『あぁ、わかった、約束する』」

「……」

「私との『約束』は絶対ですよ」

「……あぁ、分かってるよ」

しょうがない、今日はアスに付き合ってやるか……

まぁ情報の確認は続けるんだがな。

「もう、さっきから何やってるんですか」

「何って、NWOの情報の確認に決まってるだろ」

「なら私も一緒に見たいです」

そうしてアスと色々な情報を見ていった。

「あぁ、そうだった、正式なサービス開始は日本時間午後1時からだが……午前9時から職業や名前など、事前設定の受付けが始まるからその時には起きておけよ?」

そのタイミングで米β版との職業毎の基礎値の差、追加された職業、消滅した職業、つまり「β版からどれだけの修正が加えられたか」が分かるしな。

「わかりました、頑張ります」


現代の家庭用VR端末について少し説明しよう。

顔の目の位置をすっぽり覆う「VRメガネ」(開発者の子どもが付けたあだ名がそのまま商品名になってる)が使われて、これには2つのモードがある。

1つは完全没入モード。ベッドに寝たりソファーに座ったりなど楽な体勢で端末起動し意識をVR空間に没入する。遠い地に住む人達が気軽に会うことが出来たり、建築会社が内部で建築物を建てたり……用途は幅広い。ログアウトするまでは現実での行動が一切出来なくなる。

もう1つは空間投影モード。こちらは端末の内側から見える風景にウィンドウなどがあるように見せるモードだ。作業時なんかにはこちらが使われる。

「NWOは完全没入モードでプレイする。が、事前の設定は空間投影モードでも可能らしい。だから空間投影モードでやるつもりだ。流石にアバターの設定は没入してやるけど」

「体の変化をすぐに確認出来ますしね」

「そうだな……ところでアスは職業決めたのか?」

消滅したり新しく追加されてたりはするかも知れない。でもある程度役割を決めておくぐらいはしておいた方がいいと思うんだよな。

「それが、全く決めてないんですよね……出来れば後衛がいいんですけど」

「ふむ、後衛か……」

「回復なんか出来たらナオさんをサポート出来ますし、魔法も使ってみたいですし」

こちらを前衛のある職業にしようかと思っていたからちょうどいい。

「じゃあとりあえずβ版後衛職のまとめを見るか」

「職業一覧《後衛》」と書かれたページを開く。そこには数多くの職業が並べられていた。表示された職業の数は……863、異様な数字だ。

「βテスターの人達もよくもまぁこれだけの職業を調べましたね」

半ば以上呆れを込めた顔でアスがそう言った。

「流石に多過ぎるな……絞込み検索出来るけど条件どうする?」

「じゃあ、回復役でお願いします」

絞込み検索の結果、ヒット件数は482。

「まだまだ多いですね……」

「まぁ流石にこれだけの条件じゃな……」

いくつか条件を加え、最終的には38個まで絞ることが出来た。

「じゃあこの中から決めておきますね」

現在時刻は8時40分。そろそろ寝る準備を始めるか。

「失礼します。お嬢様、ナオ様、お風呂のご用意が出来ましたよ」

そう言って入ってきたのはメイドの美愛だ。

「美愛、ありがとうございます」

「いえいえ、メイドですから」

そうやって美愛は微笑む。アスは「花嫁修業」とか言って家事全般を自分でやろうとするが、今日は話し込んでいたからかすっかり忘れていたようだ。

「先に入らせてもらっていいか?」

「もちろん、私は明日のご飯の仕込みをするのでもう少し起きておきますし」

「お手伝いします」

そうして俺は風呂へ、アスと美愛は調理場へと向かった。

ちなみに美愛もNWOをやってくれるそうだ。NWOの中にもメイドの職業はあるからそれで決定してるらしい。

美愛は中学卒業直後から住み込みで働いてる生粋のメイドだからな……


風呂から上がった俺は寝室に向かい、アラームを5時に設定してすぐに寝た。

明日は今日説明出来なかったところをしっかり確認しつつ事前設定をしっかりしていかなければ。


Next Wizardry Onlineサービス開始前夜、いかがでしたか?

気に入っていただけたなら幸いです。誤字脱字の報告は良ければTwitter(@fnan_syosetu)までお願いします。


次回はサービス開始当日の午前、ナオからアスへの説明が多くなります。

出来るだけ早めに上げます……



「ハーメルン」という小説投稿サイトでも小説を投稿しています。ハーメルンは主に二次創作小説の投稿に使い、なろうはオリジナル小説用に使っていきます。

現在ハーメルンでは「東方project」の二次創作小説「『兄』の幻想郷」を投稿しています。そちらも見ていただけると幸いです。

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