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8章 病院を守れ!

ジェネシスを中心とした3人は、ハルバード王国の手を避けるためにも、そして病院を奪還する為にも武器を構え、通路に飛び出した。

病衣の彼は簡単なコートを羽織って、鋼鉄の大剣を両手で携える。

黒煙は途切れず通路を覆い、視界をジャックされながらも前へ進んだ。

喧噪的な足音が通路に聞こえ渡る。病人たちの哀れな断末魔も悲しく叫ばれる。


「…急ごう。奴らは主に玄関を占領しているはずだ」


彼の声と同時に3人は非常用階段を急いで下った。

いつもはエレベーターであって余り使用されない、薄暗い階段を3人は駆け下りた。

飛行機事故で怪我を負っていた彼は途中で少し狼狽えながらも、自らの前に現る現実を前にして逃げないでいた。

自分自身を何度も追い込め、辛いながらも武器を構えた。


階段を下りた先―――そこには作戦展開中の武装兵たちがマシンガンを片手に存在していた。

煤だらけの白衣を纏った看護師や医者を人質に、外にいるFBIは動きに躊躇していた。

大病院であった此処も、いつの間にか瓦礫の廃墟と化そうとしていた。

3人がいる場所はハルバード兵から見ては死角である、それもそのはず、滅多に使われない非常階段を用いたのだから。


「…やっぱりFBIは来てたわね。…でも人質を取られてて不自由みたいね」


「…どうやら私たちは兵士たちには見えないらしい。…不意を突いて一気に畳みかけよう」


玄関を守っていた兵士は10人程度である。3人と比べたら3倍以上の人数だが、相手には3人が分からない。先手必勝で、高速に敵を仕留めることが重要視される。

10人のうちの8人はFBIと緊迫した対峙を迎えている。残りの2人は人質たちを守っている。

3人は先ず人質保護の2人を倒し、その後すぐに8人を倒すことにした。


ジェネシスは鋼鉄の大剣を構え、簡単な服装ながらも壁から一気に飛び出した。

死角からの急襲はまるで蠢く蜉蝣の如く。背中から脇腹を掛けて斬られた兵士2人は人質の前で銃を落としてしまった。

直後にパチュリーと慧音が8人に向かって攻撃を入れ、戦場は急展開を迎える。

ジェネシスも大剣ですぐさま8人に対して斬りかかり、この時点で既に10人中7人は倒れてしまっている。

FBIも3人の攻撃を受けて崩れた布陣に対し、一斉に銃を乱射、残りの3人も射殺してしまう。

ジェネシスたちはすぐに壁の陰に隠れ、FBIの攻撃をやり過ごすや、FBIは病院内へ突撃、作戦を決行した。

そんな彼らの元へ足を運んだFBI職員…赤い髪の毛を黒煙に流して、折り畳み式の鎌を右肩に担いで。


「…凄いっすね。尊敬に値しますよ、考古学者の皆様がた」


「…貴方は小野塚小町…FBIの担当者ね」


パチュリーがそう反応すると、彼女は静かに頷いた。

―――小野塚小町。フィラデルフィア総合参謀本部に勤めているFBI担当者である。

よくテレビの番組でFBIのノンフィクションを作る際、殆んどの確率で彼女が出演する。

曾て建てた手柄は大きく、その為に抜擢された職でもあるのだ。


「…そう。私はFBIよ。この病院にハルバード兵が襲撃したと聞いたら人質を取っていたなんてね。

…簡単な礼で悪いけど、助けてくれてサンキュー」


軽い口調で言い放つ彼女はそう言うや、折り畳み式の鎌を構えた。

人質はFBIによって解放され、大勢の人々が救出されて脱出を図る。外ではドクターヘリや救急車が何台も停泊しており、一斉に病人や怪我を負った人々は運ばれていく。

鳴り響く救急車のサイレン。共に聞こえるのは作戦展開中のFBIの放つ銃声であった。


………そして、病院奥から姿を現した、1人の将軍―――。


「…私たちハルバードを退けようなんて考え…容易く通用するとは思わないで欲しいね」


そこにいたのは鴉のような大翼を背中に生やし、金色の勲章を付けた女性―――。

スーツ服を瓦礫の背景とマッチさせて…。


「…アイツは…"霊烏路空"…!…ハルバード王国の特殊部隊の1人だ!」


FBIだからこそ知っていた小町は鎌先を空に向ける。

空の右手にあった多角柱の制御棒は核の模様を指示し、何処か恐怖を誘うものであった。


「…さて、ミッション『ジェネシス博士の拉致』でも始めましょうかね」

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