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16章 シグマの幻影

フフッ、と静かな笑みを浮かべて拍手を送っていた彼女。

彼の懐から放たれていた閃光は消え、辺りに沈黙が宿る。

彼も、彼女も、また猫も、何が起きたのか分からないでいた。驚きを隠せないでいる。


「…な、何や!今の訳分からん出来事は!?ワイ、訳分かりまへんで!」


「ジェネシスが持っていたのはアルカナ、よ。ふさふさ毛の喋るネコさん」


さとりは小さなケット・シーを抱きかかえると、腕の中で脱出を図ろうとするケット・シー。

優しい触り心地は彼女を落ち着かせる。しかし、猫は暴れていた。


「こらー!早く離せ!ワイを食べても美味しくないで!」


「貴方を食べるつもりなんて無いわ。猫鍋は嫌いだしね」


猫の頭を優しく撫でる彼女に、ケット・シーは怒りを消していった。

そしていつの間にか"優しさ"と言う感情に溺れ、気がいいようになってしまう。

しかしジェネシスは何も驚かないさとりに対して違和感と同時に恐ろしさ…畏怖を抱いていた。


「…今の超常現象は何だ!?」


「…貴方は知らないのね。…なら教えてあげるわ。

―――今、貴方が持ってた、其れに私が持ってるこのダイヤみたいな石は…"アルカナ"と呼ばれるものよ。

アルカナは私たちが知らない世界に存在していた神―――『クリスタル・スカル」の欠片なのよ」


「…何よ、"クリスタル・スカル"、って…」


パチュリーは畏怖を抱いて彼女に問うた。

その超常現象と何かしらの因果関係を持つであろう「クリスタル・スカル」と言う物が何なのか―――。

自分自身の常識を覆された、そんなような気分であった。


「…それ以降は良く分かってないわ。

…でもマター博士が言うに、私たちの考古学研究所には関係資料が眠ってると、ね。

紙の材質的にも正しいとの見解が出てるけど…問題は文字が全て"線文字C"であるの。

―――私の言いたいことは分かるわよね?」


さとりは包囲していた機械軍兵を右手で制す。

…全てはジェネシスの答え1つで変わるものであった。マター博士もまた、納得にかかる。


「のう、ジェネシス。…此処にはフィラデルフィアには無い、素晴らしい書物が眠っとる。

…わしには残念ながら線文字Cを解読する力は無い。…ジェネシスの力1つで変わるんじゃよ」


「…分かりました。マター博士の納得があるのなら…了承しましょう。

―――ならば早く資料を見せてください。…解読しますから」


◆◆◆


彼女は机上に置かれた、厳重包囲されて大事そうに扱われる古い資料を彼に渡す。

古代に刻まれた、謎の文字。金色で彫られた、煤けた本を彼は手に取った。

パチュリーも見たことが無い資料を見て、目を輝かせていた。それは彼も同様であった。

挿絵付きで描かれた文明の様子と刻まれた文字。絵は水晶髑髏クリスタル・スカルを髪として崇めている、当時の信仰状況が詳しく描かれていた。


彼は書かれてあったことが不思議にも、頭にスラスラ入っていくのだ。

非現実的な事であるが、彼自身どうにか出来る訳でも無かったが。


線文字Cで刻まれた、当書の本題は新約水晶髑髏聖書アブソリュート・シエルと言うものであった。


―――昔、デ・イラグレムと言う神殿を中心にして興った『シュトラ文明』と言うものがあった。


―――クリスタル・スカルは空からやって来た存在からシュトラ文明の開祖ハルシオンが受け取った物であり、クリスタル・スカルを崇める為にデ・イラグレムを建設した。

〔此処では『空からやって来た存在』を宇宙人などと言った未知的生命体だと仮定〕


―――クリスタル・スカルはシュトラ文明の中心にあった遺跡であるデ・イラグレムの最奥に佇み、シュトラ文明の平和と安泰を約束し、敵を排除、一掃する神様であった。


―――しかしハルシオンがいなくなるとクリスタル・スカルの加護を受けた人がいなくなったことで加護が無くなり、反乱が起きてシュトラ文明は滅ぼされる。その際にクリスタル・スカルが砕かれてしまう。

〔散らばった水晶髑髏クリスタル・スカルの塊が「アルカナ」と思われる〕


―――実はアルカナはハルシオンが貰った『2つのクリスタル・スカル』の内の表面上の1つが鎮圧された際に砕かれた物で、もう1つは更に奥に存在していた。


要点を纏めると、上記のような結論に至った。

デ・イラグレムと言う未知なる遺跡が何処にあるかは分からないが、クリスタル・スカルは古代文明に於いて極めて重要な存在であった事が窺えた。

さとりは解読するジェネシスを見つめ、ただ笑みを浮かべていた。


「…読ませて貰ったよ。…ありがとう」


彼は新約水晶髑髏聖書アブソリュート・シエルを机上に置きなおすや、背中の鞘から大剣を構えた。

さとりはそんな彼の様子に驚き、目を丸くしていた。


「なっ…!?…貴方、どういうつもりよ!?」


「確かに"解読します"とは言った。…だが"言葉に出す"とは一言も言ってない!

悪いが敵軍の考古学者に教えるつもりは無いね!…ああ、私を殺してみるがいい!

誰も線文字Cの解読が出来なくなってお互い様だ!…読ませて貰ったことを感謝する。

―――私は比較的、覚えるのは得意な人間でね!」


「ジェネシスはんがそのつもりなら…ワイだって許さないで!」


さとりに抱えられていたケット・シーは標準装着していた拳銃を顎につきつけた。

彼女はすぐさま猫を離し、一旦身を引く。パチュリーはマター博士を誘導し、バイクにまで案内する。

彼は笑っていた。ブレイズバリスタを手に、さとりに向かって―――。


「…ならこれだけは教えておこう。…クリスタル・スカルは凄い神様だって事をな!」


「…そうね。貴方たちがそのつもりでいるなら…実力行使に出るまでよ!

…安心しなさい。殺しはしないわ。…だから機械軍兵たちには身を引かせて貰ったわ。

―――だけど、降伏させてやるわ!覚悟しなさい!」

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