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旅人の想い

レスターの心情を描いたものです。

「……はぁ……なぜだろう、彼女のことが頭から離れない」


それは秋終の時

ルドニの村から二つほど離れた

町の酒場兼宿屋の一階

寝酒と軽い夜食のために

酒場にいたレスターは

哀愁混じりのため息をついた


レスターがため息をつく理由は一つだけ

初秋に立ち寄った町の商人の護衛で

ルドニの村へ訪れたレスターは

昼過ぎに森へ

薬草を摘みに行った薬草医の娘が

夕刻近くになっても

帰って来ないことを聞き

娘を探しに森へ入った

そして、狼に襲われていたところを

手持ちの爆呪石

――衝撃を与えると

小さな爆発を生じさせる

魔法がかけられた石――

にて狼を撃退し

娘を助けて村まで護衛したのだ


それからはなにも

寂しさなど湧かなかったのだが

ルドニの村から離れるにつれて


助けた娘――エリカのことが

脳裏に焼き刻まれたように

頭から離れないのだ


人助けすることは

以前にもあった


しかし

人助けをして

助けた相手のことが

頭から離れないということは

一度もなかった


男性でも女性でも

例外なく離れた

しかし

今回に限って離れない

強い酒を呑んでも

忘れられない


果てには彼女とずっと

一緒にいたいと願ってしまう始末


自身は旅をする身であり

彼女は旅に出たいと願う

村に住まう娘


こんな気持ちを抱き

叶えようとするのは

彼女の両親や彼女の自身にまで

迷惑をかけてしまうことになる


だからこそ

こんな気持ちを

抱き続けるならば


記憶の彼方に追い込み

閉じ込めるしかない


「僕は……どうすればいいんだろうか……」


彼は悩み続ける

自身が抱いてしまった

恋をするという気持ちに――


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