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狼・後編
初秋の夕暮れ
森中を独りで餌を求めて
彷徨い続ける彼は
獲物の匂いを見つけた
若くか弱そうな少女の
旨そうな匂い
空腹の身であり独りの身には
たまらないご馳走
彼はすぐさま
匂いがする方向へ
駆け出した
獲物を強く欲する
飢餓感という衝動に
突き動かされるまま
速く速く風のように
舞い積もる枯れ葉を
蹴り飛ばしながら
獲物のもとへと
駆けていく
獲物との距離が
縮まったのを悟ると
彼は近くの茂みへと
身体を隠した
獲物である少女の
油断を突いて
飢餓という極度の空腹を
満たすために――
狼の生態は、Wikipediaを参考にしました。