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旅立ち
エリカが父親に
お守りをもらった数時間後
エリカは
背中に荷物を背負うと
今まで育ててくれた
両親に別れの挨拶をしていた
「お父さん、お母さん。今までありがとう。あたしはこれから、レスターさんと一緒に旅に出ます」
「エリカさんは、僕が守るのでご安心ください」
「レスターさん、娘をお願いします」
「エリカ、疲れたらたまには戻っておいでよ」
「お父さんもお母さんも、身体には気をつけてね」
「せいぜい、医者の不養生にならないよう、気をつけるよ」
「エリカも気をつけるんだよ」
「うん、わかった」
「それじゃあ、行こう」
「はい。行きましょう」
住み慣れた村に
別れを告げて
想い人と共に
世界を知るために
少女は旅に出る
胸中の不安に
押し潰されようとも
二人なら大丈夫
澄み渡る蒼い空が
二人を祝福するように
和らげに吹いた
《了》




