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エリカの家族

「なんだか緊張してきたよ……」


「あたしもです……」


二人は胸の高鳴りを感じながら

エリカの家の前にいた


エリカの両親に

二人の愛を認めてもらう


それが旅立つエリカの

唯一の憂いであり

絶たねばならない

憂慮でもある


「じゃあいきます」


「うん、行こうか」


彼女たちは玄関の扉に

手を伸ばした


ガチャと音がして

玄関の扉が開くと

聞き慣れた声が

エリカの耳に入った


「あら、お帰り。祭りはもう終わっちゃったわよ。今までどこに行ってたの? あら? レスターさんもいらっしゃるなんて、どうしたのかしら?」


「お母さん、ただいま」


「お邪魔します」


声の主はエリカの母親


「お父さんはまだ起きてる?」


「ええ、起きてるけど、それがどうしたの?」


「二人に話したいことがあるの」


「それは、レスターさんも関係あるの?」


「深く関係があるの」


エリカの母親は

エリカの決意を秘めた瞳を視て

考えを察した


「そう。今からお父さんを呼んでくるから、エリカはレスターさんにお茶でも出してらっしゃい」


エリカの母親はそう言うと

家の奥にいる夫であり

エリカの父親を呼びにいった


「それじゃ、お茶を淹れますね」


「うん、頂くよ」


エリカがお茶を淹れている間に

エリカの父親が

家の奥から現れた


「やぁエリカ、お帰り。それとレスターさんもいらっしゃるとは、我が家に何かようですかな?」


エリカの父親は

レスターに要件を尋ねる


「ええ、実は、僕がこの村に再び来た理由は、あなたがたの娘であるエリカさんと付き合わせてもらうために来たのです」


「……この村の掟は、知っておられるのですか?」


「ええ、存じてます」


「あなたは旅人だ。あなたと娘のエリカが付き合うということは、エリカは旅に出ることと同じでしょう」

「そうなりますね」


「私はエリカの親です。親というのは、子供のことが心配なんです。あなたは旅の危険から、娘を守れるのですか? それにあなたは私たちの娘を愛しておられるのですか?」


村長の問いと類似した問い

それは子を持つ親の

共通した思い


「ええ、愛してますし、彼女にどんな危機がきても守り通します」


レスターは真っ直ぐ

エリカの父親の瞳を視て

言い切った


「そうですか。なら、私は何も言いません。エリカ、君は異存はないか?」


「ううん、異存なんてないわ。あたしはレスターさんのことが心の底から好きだし」


「そうか。エリカの想いを掟で縛ることが出来なければ、本人の自由にするといい。寂しくなるな……」


家族の頭であるエリカの父親は

良い意味での家族の欠如を許した――




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