再会と想いの結末
カーメルの凶行が
過ぎ去った
聖人祭の雪降る夜
エリカとレスターは
互いに見つめ合う
互いに胸の高鳴りを
感じながら
それは永遠にも思える
一瞬の時
緊張した顔で
二人は口を開く
「「あの……」」
二人に同時に
言葉が発しかけ
緊張の糸が解けたのか
互いに笑みが零れる
「エリカさん。君からどうぞ」
「いえ、レスターさんからどうぞ」
互いが互いを譲り合う
不毛のやり取り
端から見れば
時を無駄にする行為
それを客観的に
脳内で判断したレスターは
譲り合いをやめ
自分から言った
「これ以上続けるのも不毛だから、僕から言うよ」
「は、はい」
レスターの言葉に
身を硬直したエリカ
「単刀直入に言うよ。僕はエリカさん。君が心の底から好きだ。君が良ければ、僕と付き合って欲しい」
余計な無駄を削ぎ落として
自身の本心をエリカに伝えたレスター
それを聞いたエリカは
目に涙を浮かべ
嬉しそうに笑いながら
返事をした
「あたしも、レスターさんが大好きなので、喜んで付き合います」
互いが互いを想っていた
初秋に出会ったからずっと
冬の聖人イヴェールを祭る
今日という日に至るまで
永劫にも似た長い時を経て
二人はようやく
心に秘めた想いを
伝えられたのだ
しかし、問題が一つ残っている
ルドニの村が開拓してから伝わる
伝統という名の問題
しかし、今の二人なら
いかなる難題が
牙を向き降りかかっても
乗り越えられるだろう
二人の愛という絆は
誰にも断ち切れることなど
出来ないのだから――




