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愚かしき凶行

時は戻り

イヴェール祭の雪降る夜

ルドニの丘で

彼女は狂愛を受け拒絶する


ザクッザクッ

雪を踏み締める音を鳴らせながら

カーメルはエリカへと近づく

淀んだ瞳で見つめながら


「……カーメル? ……こんなところで、私になにかようかしら?」


近づいてくるカーメルに気づいたエリカ


「……エリカ……ボクは君が……心の底から……好きだ……ボクこそが君を……幸せにできるんだ……」


「……カーメル? あなた……正気じゃないわ……あなたはあたしを、幸せにはできないわ」


呪詛のように

エリカへの愛を呟くカーメル


されどエリカは

カーメルの言葉を

否定する


「……ボクこそが君を幸せにできるんだ……なのに、なぜ君は……ボクを否定するんだ……ボクがこんなにも……君を愛しているのに……なぜ君はボクを否定するんだ!! あんな旅人なんかに君を幸せになんかできない!! 現に君は今も辛そうにしているのに、奴は来ない!! だから、ボクが君を幸せにするんだ!!」


想い人の否定は

レスターへの嫉妬に狂った

カーメルの理性を

壊すことに匹敵する


「さぁエリカ! ボクと一つになろう? そうすれば君は、悲しみに嘆くことはないのだからねぇ!!」


「……カーメル。あなたは完全に狂っているわ。そんことをしても、あたしは絶対に幸せにはなれない。ただ苦痛なだけよ!!」


狂ったカーメルの言動は

あまりにも傲慢に満ちており

エリカのことなど考えていない

ただただ

自分勝手な欲望を叫ぶ

愛に狂い堕ちた

愚かな罪人と

カーメルはなり果てた


「……あたしが幸せになれるのは、レスターさんがそばにいてくれる時だけよ。

なのに、あなたは一方的な言葉で、あたしの心を傷つける。

そんなあなたと、一つになんかなりたくないわ!!」


エリカの絶対的否定

彼女の拒絶の意志は

鉄のように堅い


されどカーメルは諦めない

「なぜ君は、ボクとの幸せを拒絶するんだ!! ならば否が応でも、君と一つになってやる!!」


カーメルは叫びながら

エリカの肩を掴もうとする


しかし、エリカは

カーメルの腕に

掴まらないよう

避け続ける


だが、数分も経たぬ内に

体力の差ゆえか

カーメルの腕に

捕まってしまった


「さぁエリカ、ようやく捕まえたよ……諦めてボクと一つになろう……」


「いや!! 離して!! 誰か助けて――!?」


エリカの悲鳴が

辺りに木霊する


絶対絶命の危機


そこにイヴェールの加護なのか

エリカのもとへと

走りながら助け人が現れた――


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