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ベタなごまかし。の巻
体育館で男子体操部の男子新体操を見て(このためだけに、器具を購入してあるそうだ)、模擬店で食券を使いながらぶらぶら見て回り、午後2時頃には最高潮に混み始めた。
人混みがきらいな聡太お兄ちゃんは「苑子、ポップコーン買ったら帰るぞ」と言い、私も緊張で疲れ気味なので、賛成した。
内藤さんも、3時から当番だそうで、帰るにはちょうどいい時間かも。
「じゃあ、ポップコーン買いに行きましょうか」と内藤さんが言うと、聡太お兄ちゃんが「俺は、正門で待ってるから、苑子だけ並んでこいよ。俺はもー、並ぶのはいやだ。内藤、悪いけど苑子を正門まで連れてきてくれよ」と言い出し、さっさと正門まで行ってしまった。
「ちょっと、そうくん!!もー、信じられないっ!!」私は、聡太お兄ちゃんの行動に唖然とした。
妹だからって、扱いが雑だよ!!バカ聡太!!ぜーったい伊織お兄ちゃんに言う!!
伊織お兄ちゃんに、お説教されればいいんだ。もーっ!!
内藤さんも、聡太お兄ちゃんの行動に呆然としているみたいだ。
「す、すいません。兄が・・・あの、内藤さん。私一人で行けますから、いいですよ?」
なんか、私いつも、内藤さんにお兄ちゃんの行動で謝ってない??
私が謝罪すると、内藤さんは「あの人は・・・強引だ・・・」とボソリとつぶやいたあと、私を見て
「聡太先輩の、ああいう行動は何か考えがあるんだと思うよ。・・・きっと。」とフォローしてくれる。
「ほんとに、すいません・・・」
「俺、時間はあるから。武内さんは気にしなくていいよ。」
「内藤さんも、3時から販売に回ると聞きました。」
「そう。でも、俺、愛想がないから販売苦手なんだ。」内藤さんが苦笑い。確かに、内藤さんって苦手そうな感じがする・・・。
「私は内藤さんのそういうところも、好きです」
「え」内藤さんが聞きかえす。
私、今・・・何言った?
私・・・告白っぽいこと、言った??
「え、えーと、ポップコーンが好きですって言ったんです」慌てていいつくろう。
「そっか。昨日、試食したんだけど結構美味しいよ。聡太先輩の妹だから、おまけしてあげるね」
よかった、周囲が騒がしくて、内藤さんには聞こえてないみたい。
でも、言葉に出して自覚してしまった。私、内藤さんが好きなんだ。
何事もなかったように、メープル味のポップコーンを購入した私は、内藤さんと一緒に正門で待っている聡太お兄ちゃんのところへ行った。
聡太お兄ちゃんは私の横にいる内藤さんを見て、なぜかニヤリとして内藤さんに何事か話していた。内藤さんは、なぜかちょっと慌てた様子になり、聡太お兄ちゃんはそんな内藤さんの肩をたたいていた。
その後、私は、むやみにご機嫌な聡太お兄ちゃんの様子を不気味に思いながら帰ったのだった。
読了ありがとうございました。
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うぉ~、ベタだ、ベタだよ。
読んでいただいてる方にドン引きされたらどうしよう。
(自分で書いておいて言うのもなんですが)
次回は、聡太サイドの話になります。