-3.
駿介は心配性。の巻
「話は変わるけど、今日は暖かいね」内藤さんが、日差しに目を細める。
「そうですね。天気がよくてよかったです。昼間ならベンチに座っててもいいですね」
「そうだね。あのね、武内さん」
「はい」
「大学、合格したよ。」
「おめでとうございます。あの、どちらの大学へ行くんですか?」
「・・・・・伊織さんと同じ大学・・・・・」
「そうなんですか。じゃあ、大学でばったり会うかもしれないですね・・・・そうなると、内藤さんも一人暮らしをするんですか?」
伊織お兄ちゃんの通う大学は、このあたりからだと電車で1時間くらいかかる。通えなくはないけど、お兄ちゃんは家を出たのだった。
「うちは昨年父が転勤して母がついていってるんだ。兄と弟だけだと、大変だろうし・・・。来年中には両親がこっちに戻ってくるから両親が戻ってくるまでは家から通うって決めたんだ」
「そうなんですか」
「それに」内藤さんが、私をちらっと見た。
「それに、武内さんが心配だから」
「え?私ですか?どうしてですか?」私、そんなに内藤さんに心配されるほど、ぼけてるんだろうか。確かに、おっとりしてるとは言われるけど。
「あー・・・・それは、・・・・さっきの高野くん」
高野くん?彼がどうかしたんだろうか。
「高野くん、ですか?どうして、高野くんが出てくるんですか?」
ますますもってわからない。内藤さんは、何かを決心したように私を見た。
「そうだよね、そういわれてもわからないよね・・・あのね、武内さん。俺が武内さんのことが心配なのは・・・・武内さん・・・・苑子ちゃんのことが、好きだから。苑子ちゃん、俺と付き合ってくれませんか?」
それは、突然言われた。こんな突然に、願いがかなうことってあるんだ。
「あの、内藤さん。私、内藤さんに誕生日プレゼント何がいいって聞かれたときに、言えなかったことがあるんです」
「え?」
「あの、その・・・・私と付き合ってくださいって言いたかったんです。私も、好きです」
内藤さんは「うん。これからよろしくね」と私を見て照れくさそうな顔をした。
「俺、苑子ちゃんにお願いがあるんだ」
「なんですか?」
「これから二人で会うときは敬語を使わないこと。それから・・・俺のことを名前で呼ぶこと」
「え・・・・えっと・・・はい」いきなり、敬語もなおらないし名前でも呼べないよ・・・。
「ほら、“はい”じゃなくて“うん”って言ってごらん」内藤さんはなんだか楽しそうだ。
「う、うん」
「それにしても、これから心配だなあ、俺。」
「ど、どうして?」
「もう同じ電車に乗れないし、同じ高校の男が苑子ちゃんにちょっかい出すかもしれないし・・(さっきの高野みたいに)」
「ええ~?大丈夫ですよう。私、もてませんから」
「・・・本当に心配になってきた。」
内藤さんは、実はとても心配性な人だったらしい。
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やっと、ここまで来ましたよ!!
次回、最終回です。