2.方向決定
自覚する男。の巻
孝介兄さんが伊織さんからの電話で俺と合流し、伊織さんは「大学に用事があるから、ここで」と言ったので、孝介兄さんと俺は家に戻ることにした。
「駿介、伊織と実際話してみてどうだった?」
「・・・・顔を合わせたときに、目が笑ってなくて俺を値踏みしてたのはすぐ分かった」
「・・・・・・えーと。そりゃまた・・・」
「でも、最後はしぶしぶだろうけど、認めてもらえた気がする」
「ほー、よかったな・・・・お前、この大学でうまくやれるよ、きっと」
「は?」
「きっと、駿介の立場が正しいのに理不尽な目にあったときは伊織が助けてくれるよ。妹の彼氏だかんな。」
「・・・・まだ彼氏じゃないんだけど」
「お?まだってことは。その気あるのか~・・・・えー、もしかすると将来、伊織と義兄弟かよ・・・・うわ~、喜ぶべきか恐れるべきか。」
「どうして、そんな展開になるんだよ!!」ここは、つっこむべきだよな、俺。
孝介兄さんはおや?という顔をして、「伊織に「妹の彼氏候補」として認定されたのに。」さらっとという。
「・・・・先のことはともかく、付き合ったらちゃんと真面目に付き合う。」
「そうだよな~、駿介はそういうヤツなのを、俺はちゃんと知っている。」
「孝介兄さん、伊織さんって確かに威圧感あるよね」
「そうだな~。あいつは1年生のときからあんなで、最初は俺もびびったけど、なんか慣れた」
そりゃー、たぶん兄さんも同類だからだよ・・・。
伊織さんに言われたことや、孝介兄さんと話したときのこと、自分の思っていることを改めて考えた。
小動物みたいで面白いって思ったのは本当。だけど、彼女のことを知っていくとそうじゃなくなってきたのも本当。
彼女の事を好きな男がいる話をきいてムカっとしたものの、それが玉砕続きだと聞いてちょっと喜んじゃったり・・・・。
彼女のことは、大事にしたい。自分の側にいてほしい。
俺は、ようやく自分の気持ちに気がついたのだった。
武内さんに直接会って、合格したことと自分の気持ちを伝えなくちゃいけない気がして、俺は彼女にメールじゃなくて電話をすることにした。
電話をもらうことを予測してなかったみたいで若干焦った感じで出た彼女に、今度の休みの日に外で会いたいと伝えたところ、かなり驚いていたがOKしてくれた。
思えば、自分から女の子に会いたいと伝えたのも、武内さんが初めてだ。
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どうしても書き出すまでに時間がかかり・・・毎日更新が危うくなるところでしたが、なんとか書きたいことを書くことができました。
次回から最終章です。




