3.メールやりとり
苑子、メールで悩む。の巻
図書室で知り合っていらい、私と内藤くんは学校で顔を合わせると話をするようになった。
「武内さん、駿介兄さんの試験終わったみたいだよ。」
「へ~、そうなんだ。」
「メールしてみたらいいのに」
「え・・・忙しいだろうし。」
「大丈夫だよ~。俺に聞いたって言って送ってみなよ」
「そうかなあ」
「大丈夫だよ。駿介兄さんは迷惑な人間にはメルアドなんて教えないから」
内藤くんの言葉に勇気付けられて、私は今年に入って初めてのメールを送ってみることにした。
クリスマスのときはケーキを渡すからって口実があったからメールを送りやすかったけど、何でもないときに送るのって・・・・送りづらい・・・・・・。
居間で携帯をじっと見つめていると「・・・・苑子、なにやってんの?」と怪訝そうに聡太お兄ちゃんがこっちを見ている。
「うわあ!そうくん。驚かさないでよ」
「お前が勝手に驚いたんだろうが!!」
「う・・・ごめん」
「内藤なら試験終わったから家にいるんじゃねえの?」とニヤリとする聡太お兄ちゃん。
「ふ、ふーん。そうなんだ。・・・・部屋に行こうかな」
聡太お兄ちゃんのニヤニヤ顔を見るのもイヤなので私は自分の部屋でメールを出すことにした。
「こんばんは。内藤さんの弟さんから試験が終わったと聞きました。お疲れ様でした」
これだけの文字を打つだけなのに、どうしてこんなに緊張するんだろう・・・。それに何度、訂正したことか。
それでも何とか送信すると、すぐに返信がきた。
「こんばんは。試験がなんとか終わったので、ひと休み。無事合格してるといいんだけど」と汗かいた顔の絵文字がついてきた。
「内藤さんなら大丈夫ですよ」と私も力こぶの絵文字をつけてみる。
「合格してたら、次は武内さんの誕生日祝いだね。何がいいか考えてる?」
「合格してたら、教えます」
「じゃあ、合格してないと困るなあ」の文章に困った顔の絵文字がついたメールが返ってきた。
そういえば、内藤さんの志望大学ってどこなんだろう・・・・ずっと聞いてみたかったんだけど、今聞けば教えてくれるのかな。
「今さらですけど内藤さんは、どちらの大学を受験されたんですか?」と送ってみた。
返信は「武内さんには内緒です。合格発表後のお楽しみってことで」
思わず「えー!」と叫んでしまった。
いったい内藤さんはどこを受けたんだろう??
読了ありがとうございました。
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駿介からのメールに惑わされる苑子でした。




