-3.その頃の内藤家。-1
武内さんと別れて、家に戻ってくると大学生の兄・孝介と、高校1年の弟・裕介が家で対戦ゲームをしていた。
俺の家は、父親の転勤に母親がついていってしまい、年末まで戻ってこない。
必然的に家事は兄弟で分担することになり、ローテーションを組んで、炊事、共有スペースの掃除、洗濯をこなす。各々の部屋は各自と決まっている。
母親が「男子は家事ができて当たり前」の人なので、今の生活も困らないのは助かる。
「ただいま」と居間に顔を出すと「駿兄ちゃん、お帰り・・・・あ、孝介!今の手は卑怯だろう!!」
「ふん。戦場に掟はあってないようなものだ・・・お帰り、駿介。裕介、俺を呼び捨てとはいい度胸だな。」
・・・・どうやら、勝負のクライマックスで帰ってきてしまったらしい。
間もなく、勝負は兄・孝介の圧勝で終わった。
「ところで駿介。お前、どこ行ってたの?」と勝負を終えた兄がお茶をすすりながら俺に聞く。
「・・・・ちょっと、予備校に用事があった。」
「ほお~。その割りにお前のカバンは軽そうだよな」
「今日は、パンフをもらいに行っただけだから」
「ふうん・・・・」明らかに、兄は怪しんでいる。
「なんか、駿兄ちゃんのカバンから甘いにおいがする!!」と裕介がいつのまにか俺のカバンの近くで言い出す。あいつの鼻は犬並みか!!
「そんなわけないだろ。ちゃんと袋に」ヤバいと思ったときには、兄さんが「さあ、出したほうがいいぞ」とニヤリと笑った。
俺はしぶしぶと武内さんからもらったケーキを二人の前にだした。
袋からケーキを出すと、チョコレートと紅茶の香りがする。
「おお~~、うまそう!!駿兄ちゃん、これどうしたの??」裕介は興味しんしんで聞いてくる。
「どうみても女の子からだよなあ、これ。無愛想な駿介がねえ」とニヤニヤする孝介兄さん。
「・・・・先輩の妹さんを専心祭で案内したら、お礼にもらったんだよ」
「先輩って?」
「昨年の剣道部部長の武内聡太先輩だよ。」
「武内・・・そういえば、弟の聡太は剣道部だったな。」孝介兄さんがぼそりと言った。
「そうだけど、兄さんは伊織さんを知ってる?」そういえば、兄も専心館だから伊織さんと同級生か。
「伊織とは3年間同じクラスで友達だからな・・・・おまえ、伊織の妹に手を出したのか」
読了ありがとうございました。
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駿介兄・孝介と伊織につながりが!ビバ!!ご都合主義!!(作者の居直り)
書いているうちに、こうなってしまいました。