高電圧は流れない
褐色の大地に点々と息づく雑草たち。それらを踏み分けて進むと、有刺鉄線のゴールテープと、その先に佇む美しい女博士が見えてきた。
『危険! 高電圧が流れています!』
そう書かれたプレートが足元に落ちていた。僕は嘲笑う。高電圧は流れない。流れるのは電流。あの聡明そうな女史が書いたのだとしたら、少し残念だ。でも、そんなこと、彼女にとって限りなく些細なコトなのかもしれない。
博士は試すような眼で僕を視ていた。
END
立ち止まっていただき、ありがとうございました。
今回は、いわゆる200文字小説というものに初めて挑戦してみました。いかがでしたでしょうか?