9.驚きとため息
9.驚きとため息
良介たちが二次会の会場につくと、予想通り宴会が始まっていた。
二次会はボウリングとのパックで、出される料理が決まっている。 ボウリングで運動した後なので、みんな腹をすかせていた。 目ぼしいものは大かた食い荒らされていた。 それでも、知美が気を利かせてくれて良介たちの分を確保してくれていた。
「おう! 幹事様のご到着だぞ」志田が言うと、一斉に拍手で出迎えてくれた。
志田は、馬券が当たったと思っているせいか、既に酔っているのか、かなり上機嫌だ。
「よし、まずは乾杯しよう」良介たちが席に着いたところを見計らって井川が声をかけた。 純が慌てて良介のグラスにビールを注いだ。 良介は立ちあがって一言挨拶をした。
「それではみなさん、今日はご苦労様でした。 今更ではありますが、乾杯させていただきます。 少し落ち着いたら表彰式を行いますので、よろしくお願いします。 それでは、カン~パイ!」
全員、一斉に乾杯し、手の届く範囲の連中とグラスを合わせた。 良介は注がれたビールを一気に飲み干した。
それから良介は表彰の段取りを始めた。 純が隣で手伝った。 順位表を確認し、表彰者をリストアップする。 その間に、個人の成績表を配布した。
志田はお互いのスコアを見比べて、わずか1ピン差で井川に負けていたのを地団太踏んで悔しがった。「何をそんなに悔しがってるんだ? ハンデを考えたら俺の圧勝だよ」井川がそう言うと、志田は「そんなことは関係ない」と反発した。
中川も1ピン差で知美に負けていたが、勝ったのが知美ならと納得していた。
引き続き、良介は馬券の投票用紙を確認し始めた。 的中の『2-8』と書かれている投票用紙は3枚だけだった。
「こりゃあ、荒れるぞ!」良介がつぶやくと、純は良介が持っている投票用紙を覗きこんでニコリと笑った。「良ちゃん、よかったじゃない」
良介はその後、少し腹を落ち着かせてから立ちあがって叫んだ。
「みなさーん!」全員が一斉に良介の方を見た。
「それでは、これから表彰式を始めます」中川と知美がお互いの健闘をたたえ合って、握手をしている。
「容赦なく、1位から行きますよ」全員が息をのんだ。
1位から発表するのには訳があった。 買いそろえた賞品を上位から好きなものを持って行くシステムにしているからだ。
「1位…。 優勝は小暮君!」その瞬間、会場から「なに?」だの「ウソだろう?」だの驚きと嘆きの声とともに、ため息が。 そんな連中を尻目に、小暮は恐縮しながらも、迷わず、ディズニーのチケットを持って行った。
志田と本田はすぐに、競馬新聞と投票用紙の控えを見比べると、頭を抱えて天を仰いだ。
「喜んで損したー!」と本田。 逆に青田の目は輝いた。
知美は一瞬肩を落としたが、競馬新聞を見たら安堵の表情に変わった。 小暮と同じ枠に優子が入っていたので2-8は買っていたのだ。 じゃあ、2位は? そこが重要だ。 最後までゲームをしていた小暮のレーンからもう一人こんなイレギュラーが出たら…。
そうなれば、名取と同じ枠の秋元、江藤と同じ枠の竹内には当り目が残っている。 特に、秋元は期待に胸を膨らませながら、良介の言葉を待った。
「続きまして、第2位…」