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8.取らぬタヌキの皮算用

8.取らぬタヌキの皮算用



小暮は7フレーム以降全てストライクなのだ。 そして、これが10フレームの3投目。

「おい! こりゃあ、200超えてるなあ。 ここもストライクだったら何点になるんだ?」

小暮は最後もストライクで6連続ストライク。 216。 ハンデ込みで242。 トータルで394。

 スコア表はまだ出ていないが、おそらく小暮が優勝したに違いない。

「たぶん、先に行った連中は小暮がこんなスコア出したとは思ってないよな」


 二次会の会場では、先にボウリングを終えて、やってきた連中が既に、乾杯を待たずに一杯始めていた。

「優勝は、ともちゃんか中川だろう」志田が嬉しそうに言う。

「でも、小暮君も最後、頑張ってましたよ」知美は謙遜して言った。

「ない。 ない。 あいつは、最初120くらいだったから、ハンデ考えても200くらい出さないと、ダメだろう? それに、6フレくらいで60いくつだったぞ」井川は小暮の優勝をまったく予想していなかった。

「あーあ、8枠は買ってないんだよね」中川はつぶやく。

「そりゃあ、馬券は当たらなかったかもしれないけど、優勝か準優勝だったら賞品をもらえるんだからいいじゃない」秋元はふてくされてジョッキを口にした。

「この中で当たってる人いるんですか? 知美さんと中川さんだったら7-8ですよね?」竹内がみんなに向かって質問した。 すると、志田と知美が手を上げた。

「えー! 社長当たったんですか? 知美さんも?」と驚く優子。

「でも、私は、自分からじゃなくて日下部さんから買ったのよ」知美はそう言って優子に自分が買った馬券の控えを見せた。

 知美は自分と同じ8枠の良介から、女の子のいる、2枠、6枠、7枠への3点、600円分を買っていた。

 更に、本田が「俺も当たりだよ」と手を上げた。 これで、配当金は志田、知美、本田の三人で山分けになる…。 はずだった。

「あれ? 馬券の神様の青田君は外れたのか?」志田が青田に聞いた。 青田は今まで全レース、馬券だけは当てていたのだ。

「ええ、今回はダメでしたね。 でもまだ、確定じゃないですよね」


 良介はカウンターで清算を済ませると、引き換えにスコア表を受け取った。 すぐに、スコア表の一番上の名前を確認した。 やっぱり、小暮だった。

「おめでとう、小暮君の優勝だよ」良介は、そう小暮に伝えた。

「小暮さん、やりましたね」同じレーンで投げた、名取と江藤も小暮を祝福した。

「さあ、皆さんがお待ちかねだ。 急がないと料理がなくなっちまうぞ」良介は歩くスピードを速めた。

「えーっ? だってまだ始まってないでしょう?」純は冗談はやめてとでも言うように聞いた。

「あの人たちは、そんな常識は持ち合わせていないよ」良介はあっさり否定した。 名取と小暮も相槌をうった。

「ウソでしょう?」純は冷や汗を流して良介たちについて行った。



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