7.伏兵現る
7.伏兵現る
2ゲーム目が始まった。 上位の3人以外は、既にこの段階で、自分が優勝するかというより、馬券がどうなるかが気になるようだ。 今のままでは知美と井川の枠1-8で決まってしまう。 そうなると、的中するのは井川だけだ。
2ゲーム目も井川は好調で、コンスタントにスペアを拾っていく。 逆に、知美はミスが多くなり、100を超えるかどうかという展開になって来た。 竹内もスペアが取れなくなり、スコアが延びなかった。
「おい、おい! こりゃあ、分からなくなってきたぞ」中川がニンマリ。
中川は2ゲーム目に入って調子が上がって来たのだ。 200オーバーの可能性が出てきた。 中川は7枠。 1-7は買っているが、7-8は買っていない。
「ともちゃんには悪いけど、このまま頼むよ」そう願った。
一方、小暮は馬券を買っていないので、自力で賞品を取るしか家族への面目を保つ手段がない。 ハンデが26あるが、1ゲーム目は126。 2ゲーム目もなかなかスペアが取れず苦戦していた。 6フレームまで終わって66。
「終わったな。 ミッキーちゃんさようなら」
そうつぶやいて7フレーム目の第1投。 勢いのあるボールが真ん中に入った。 回転の利いたボールがピンを弾き飛ばす。 ストライク! 小暮にとっては初めてのストライクだった。
「焼け石に水だな」そう言いながらも、今日、初めてのストライクに満足した表情で笑った。
志田は、右手の握力がなくなって、重いボールを持てあましていた。 すると、志田より体格の大きい男が13ポンドンオレンジ色のボールを置いて帰るのが目に入った。 志田はすかさず、そのボールを取りに行った。 予想した通り、このボールは志田の指が入るくらい大きめの穴が開いていた。
ボールを替えてから、志田が調子づいてきた。 ストライクが出るようになって来たのだ。
「どうよ! ちゃんとやればこんなもんさ」志田は、井川を見返すように言った。
「ああ、そう? でももう遅い、遅い」井川は軽くあしらった。
そうは言ってみたものの、井川はかなりアルコールを溜め込んでいると見えて、投球するたびによろけるようになってきた。 当然、ミスが続いて失速。
「井川さん、ダメだよ! しっかりしてよ」中川は井川に檄を飛ばした。
馬券の行方もそうだが、がぜん、優勝争いもヒートアップしてきた。
早くゲームが終了した井川と中川のレーンのメンバーは先に二次会の場所へ移動することにした。 更に、志田と良介たちのレーンもゲームを終えた。 残るは名取・小暮・江藤の19番レーンのみだ。
幹事の良介は支払いがあるので最後まで残らなくてはならない。 場所を知っている青田が志田達を連れて二次会お会場へ移動した。
「どうせ消化試合なんだから、とっとと終わらせてくれよ」と良介は19番レーンのメンバーに声をかけた。
「日下部さん、ちょっと画面を見て下さいよ。 小暮さんがヤバいっすよ」名取が叫んでいる。
「何がヤバいん…」良介はスコアが映し出されている画面を見て驚いた。