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【連載版】教師ですもの、当然ですわ~婚約者のいる生徒は、他者と適切な距離を保つことを心がけましょう~  作者: 赤林檎


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6.三者面談

 わたくしは国王陛下と王妃殿下にも、『婚約者のいる生徒は、他者と適切な距離を保つことを心がけましょう』という内容のプリントを見せた。

 まず、国王陛下がお読みになってから、王妃殿下に手渡されていた。王妃殿下も真剣なお顔で読んでおられたわ。


「これは一体……、どういうことなのだ!」

「王立学園はどうなっているのです!?」

 王妃殿下は、プリントをローテーブルに放り出された。

 お二人は、怒りで顔を真っ赤にしておられる。

 わたくしに怒られたって困るわよ……。


「フラヴィオが誰と親しいというのだ!」

 それも知らないの……?

『王家の影』って、現実にはいないのかしら?


「クーラ男爵家の庶子であるマリサさんと、特に親しくなりたいご様子です。婚約者のベアトリスさんよりも、マリサさんが気になるようですわ」

 わたくしは、また感じたままをお話した。

 本当は、マリサさんの名前を出したくなかったのだけれど……。


「フラヴィオからは、そんな話は一切聞いていない!」

『でしょうね』という言葉を、わたくしは飲み下した。

 だから、こうして家庭訪問することにしたのよ。


「フラヴィオは先日も、ベアトリス嬢と挨拶に来てくれましたわ!」

 それは、ベアトリスさんが王太子妃教育のために王宮に来たからでしょう? フラヴィオ君はなにも考えず、いつものスケジュール通りに行動しただけだと思うわ。


「フラヴィオを呼んでちょうだい!」

 王妃殿下が侍女に指示を出した。


 侍女はすぐにフラヴィオ君を連れてきてくれたわ。

 フラヴィオ君は不貞腐れた顔をして、国王の私室に入ってきた。まだ学園の制服のままだわ。だいぶ前に帰宅したはずだと思うのだけど……。


「ロザンナ先生、なんのお話なのですか?」

 フラヴィオ君は、王妃殿下の隣に座った。


「フラヴィオ君、このプリントですが、親御さんに渡しましたか?」

 わたくしはフラヴィオ君の方に、ローテーブルの上にあるプリントを滑らせた。


「ハッ、注意をするなら、マリサ嬢にしたらいい! 私は迷惑していたのだ!」

 フラヴィオ君って、本当に最低ね……。すべてをマリサさんのせいにしようとするなんて。


「フラヴィオは王太子だ! そのマリサという女生徒を排除したら、それで済むだろう!」

「そんなこと、王立学園の責任ですわ! 職務怠慢よ!」

 国王陛下と王妃殿下が、こんな方たちだということは、なんとなく知っていたけれど……。


「お二人とも、適当なことばかり言わないでください。まずは、わたくしの話をお聞きください。マリサさんを排除するかどうか決めるのは、それからでも遅くはないはずです」

 わたくしは、なんとか国王陛下と王妃殿下に落ち着いてもらいたかった。


 ――一人で王宮に来たのが間違いだったの……?


 学園長は、わたくしに肩入れしている。わたくしを守るために、マリサさんを排除することに同意しかねない。

 副園長や、他の先生方は……、王家と対立する気概なんてない方々よ。

 ダビド先生に来てもらうには、鉱山分校はあまりにも遠すぎた。

 わたくしの親兄弟や友人たちは、わたくしの仕事とは関係のない人たち。家庭訪問について来てもらう、なんて明らかにおかしいわ。


「あのような女は、娼館にでも落としては?」

 フラヴィオ君、なんてことを言うの!

 こんな歪んだ表情をするから、わたくしにはフラヴィオ君が『整った素敵な顔』なのかどうなのか、まったくわからないのよ!


「王太子にすり寄る下賤な女だ。娼館など、逆に喜ぶのではないか?」

 国王陛下も最低よ! ああ、国王陛下も、フラヴィオ君も、ニヤニヤ笑って気持ち悪い!


「国外追放が妥当ですわ!」

 王妃殿下がヒステリックに叫んだ。

 王妃殿下のお声はとても耳障りだったわ。だけど、国王陛下とフラヴィオ君の意見に、真正面から反対していただけたのはありがたかった。


 三人は、わたくしの前でマリサさんの処分を巡り、激しい言いあいを始めてしまった。

 わたくしには、この三人がまともに話を聞いてくれるとは思えなくなった。

 お諫めしたところで、意味のない方だっている……。

 こんなところで、わたくしの命を懸ける必要なんてない……。


「それでは……、わたくしがマリサさんを国外に追放してもよろしいですか?」

 わたくしは、王妃殿下に加勢するような感じで言ってみた。

 マリサさんを娼館に落とされるわけにはいかないわ!


「許可しよう。ロザンナ先生、貴女にも責任のあることだ。マリサ嬢に付き添うがよい。この国に戻ってくる必要はないぞ」

 国王陛下はそっけなく言った。


 国王陛下も、フラヴィオ君も、ものすごく不機嫌そうだわ。

 王妃殿下は勝ち誇ったお顔をされている。


 国王陛下は、怒りに任せて、わたくしまで追放するのね……。

 しかも、一介の教師に、人を国外に追放する許可まで与えてしまうなんて……。


「承知いたしました」

 わたくしは、静かに己の運命を受け入れた。


 こうして、わたくしの王家への家庭訪問は終わったの。

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