第9話
1か月後、
「マサミはまだか?」
「貿易に疎すぎて逃げ出したんじゃないですか?」
「遅れてしまい申し訳ありません。城内に入らずに4台の馬車一杯の鉱石となっています。それが俺の利益です」
「はぁ?貿易ってのは、輸出と輸入とコストとかそういうのだろう?」
「このやり方でも貿易ですよね?ちなみに、使ったのは俺の労力なんで、こちらからのコストは実質0。利益は4台の馬車一杯の鉱石です。そちらは?」
「バケツ一杯の鉱石だ」
「勝負ありだな」
「馬車一杯って上げ底じゃないのか?」
「疑い深いなぁ。宰相さんいますよねぇ、その方と一緒に見ればわかりますよ」
俺は鉱石一杯の馬車を4台持って帰ってきてるからな。
王城の入り口にとめてある俺の4台の馬車を宰相さんとその部下の方がしっかりと検査。
「マサミ殿に不正は一切見られません。4台の馬車一杯の鉱石が彼の利益となります」
ふんっバケツ一杯の鉱石じゃ話にならないな。
「この勝負はマサミの勝ちとする。他国との貿易権もマサミに与えよう」
「有難き」
これで、お前らは貿易の度にいちいち俺に頭を下げる事になるんだ。
「で、事情とは?」
「あ~、この商人たちを出払ってもらっても構いませんか?」
「お前ら、とりあえず、城から出ていけ」
俺はヴェータス国王陛下にここに来る前から異世界転移後の事までを細か~く伝えた。
「ほう、そのような事情か…。なるほどな。商人たちが異議を申し立てると思ったのか?」
「今までがそうだったので。俺がどんなに訴えようとも、商人をやってる者たちはこれまでに自分達が責められないように事実を改ざんして説明してきていたので」
「賢明な判断だ。強くなったアカツキにこの国の勇者・戦士・賢者・商人たちに復讐をしようと?」
「私怨なんですけどね。でも囮にされたのは事実ですし、人道的ではないことも事実です」
「それにはハカマダも加担しているのか?」
「立案したのは誰なのかは知りませんが、実行した中にはいますね。俺以外がいなくなっていたので。完全に俺を囮にして逃げるという作戦です。『須藤正己ならいい』とか思ったんでしょうね。残念ながら、生き残りましたけど」
「どうやって?」
「ドラゴンにとってヒトのサイズは米粒ですよ?わざわざ咀嚼しないんです。丸飲みです。なんで五体満足でドラゴンの胃の中で生活していました。酸に強い体も手に入れました。丸飲みするから、胃にじゃんじゃん雑魚モンスターがくるわけです。それを地道に倒していたら、レベルがこんな事に…。ドラゴンにはよく噛んで食べた方が体にいいとか、口臭が気になったから歯を磨いた方がいいとか指導をしておきました。仲良しですよ?さすがにずっと胃で暮らしていたんで」
「なるほどなぁ。貿易の知識も?」
「なんでも食べるんですよ~。それで、貿易関係の書物なんかも食べたみたいで読んだことがあったので」(あれ?なんでこっちの言葉が読めたんだ?)
「今回の貿易は天晴れ」
「あ、1カ月限定です。これからは通常通りのやり方で貿易をしないといけませんね。あ、アルス帝国ですが、トップが食料を独占しているだけでした。庶民は飢えているけど、皇族は肥えてました」
「それはまた……」
帝国から共和国になるかもなぁ。あの国民の中から救世主のように誰か現れたらその人が皇帝になるのかな?
「今が攻め時という話か?」
「へ?戦争とか奨励してませんけど。むしろ、戦争反対」
国王陛下にお話をしました。事情。
正巳は戦争反対です。どうして攻め時とか思ったんだ?




