第38話
「なんだ?この子は俺の背に乗りたいのか?」
「治癒魔法を学びたいんだって」
「3年くらいかかるが?」
「そんなの余裕よ!」
「谷に連れて行っていいか?3年くらい」
3年もかかるのか?俺、そんなにかかったか?
「うーん、女の子だし」
「ダメよ~。まだ子供だもの」
リンは結構過保護気味。
「俺がマリに治癒魔法を教えていいか?」
だったらと思ったんだけど…。
「それはなぁ……」
だよなぁ。龍己に通いでココに来てもらうのも忍びないし。
「龍己さんもここで暮らせばいいじゃない?」
ドラゴンの生態を知らないから言えるよなぁ。
「龍己……今繁殖期とかじゃないよな?ここ3年は大丈夫か?」
「丁度大丈夫だ。ただ、向こうに子供がいるんだよなぁ」
「たまに帰るんじゃダメだろうか?」
結局マリが谷に行けるようになるまでNGということになった。
成己はというと、リンと冒険者としてダンジョンに行ったりして結構稼いできている。
「いやぁ、成己君もマサミの血を引いてるだけのことはあってなかなかに強い。今のところは63レベルだけどドンドンレベルは上がるでしょうね。何しろリンさんと一緒にダンジョンに潜ってるし」
と言うのはライさん。正直羨ましい。俺もリンと一緒にダンジョンに潜りたい!
俺はそんなことを考えているからか、久しく遠ざかっていた煩悩さんが戻ってきた感じで体がリンを求めて仕方なかった。仕方ないじゃないか!煩悩さんが帰ってきたんだから。
「オバサンだからもう相手にされないのかと思った」
「何を言うか!俺のリンは永遠に不滅だ‼」
言ってることはわけがわからない。とにかく煩悩さんが帰ってきたのだから、双子は夫婦の寝室に入るべからず。
煩悩さんが帰ってくると、リンは妊娠をした。
「この歳になって妊娠するなんて思わなかった」
「「この歳で弟妹が出来ると思わなかった」」
成己とマリのジト目が痛い。
成己よ、覚えておけよ。お前だって煩悩さんと仲良くしないとエライことになるんだからな。
成己もそこそこ強いし、王城に産室を作ってもらうほどじゃないだろう。作ってもらおうかな?産後のケアがいいし。
「成己、ちょっとフリックのところに行ってくるから、母さんのことは頼んだ!」
王城の門番さんは相変わらず俺のことを覚えてくれない。悲しい。
リンの助言の通りステータスボードを見せると慌てて、王城へと通してくれた。
「フリック~。リンが妊娠しちゃって、産室作ってくれない?ってフリックどうした?」
「陛下は御子の出産を前に緊張しているのです」
侍女の人が教えてくれたけど、俺はこんな感じでウロウロしてたのか。確かにちょっと大きめの檻に入れた猛獣って感じだな。
「フリック~!フリック~‼」
「ああ、マサミかぁ。何の用だ?」
「冷たいなぁ?いやぁ、リンが妊娠したんでまた産室作ってくれないかなぁってお願いに来たんだけど、フリックが忙しいみたいだな」
「ああ。母子共に健康であれば……」
またウロウロし始めた。
フリックも熊化するのです。




