第37話
リンは悪阻も乗り越えて、いよいよ出産に挑む。
「男子禁制ですので、廊下でおとなしくお待ちください」
産婆さんにビシッと言われてしまった。そうは言ってもドキドキして廊下をうろうろしてしまう。
「はははっ、お前はちょっと大きめの檻に入れた猛獣か?」
フリックに馬鹿にされた。自分だって同じ立場になれば同じように動くはず!
「フリックが俺と同じ立場になった時に笑い飛ばしてやるからな!」
「楽しみにしてるよ」
悠然と言われるとなんか腹立つ~!!
「おぎゃあ~!」
はやくね?
「おぎゃあ~!」
そして早いよ。
リン…特技、出産?
「元気な男の子と女の子ですよ~。男の子が上の子で女の子が下の子の双子です」
兄妹って知ってた~。
「リン、お疲れ~」
「うん。出産ってなんかすっごい痛いけど、あっという間に終わっちゃった」
リンだけだよ。それが一晩中続く人とかいるんだよ。
「今はお休み~」
「ありがとう」
リンは眠ってしまった。さて、名前どうしよっか。日本人ぽい名前の方がいいかな?
男の子…俺っぽい名前がいいな。うん。成己にしよう。
女の子…リンっぽい名前がいいな。うん。マリにしよう。 といってもリンが起きたら相談するけど。
「リン、起きたのか?大丈夫か?」
「うーん、まだちょっと疲れてるかも」
「マサミ様!リン様にはお坊ちゃんとお嬢ちゃんに初乳をあげるという仕事があるのですからお話はその後で!」
「お、おお」
なんだか気おされてしまう。
戻ってきたリンと話そうとするのだが「ゴメン、疲れて眠いよ~」と、なる。リンを労わるのも大事だけど、あいつらに名前つけないとなぁ?
やっとこさリンと相談をすることが出来た。
「なんか貴族様みたいに乳母がついてお世話してくれてるから、かなり楽してるよ」
「初産で双子はきついだろ?」
俺は産褥期を味わっててキツイ。あ、俺が治癒魔法で……。
「そうそう、男の子の名前は成己。で、女の子の名前はマリ。でどうかな?」
「すごい!偶然私が考えてたのと一緒よ~!やっと名前が決まったわね。成己君とマリちゃんよ!」
双子ちゃんは乳母たちが見てくれているので、俺とリンは久しぶりに二人きりの夜を味わった。
数年後、成己もマリも元気に育った。
「あのさぁ、父さんも母さんも人前でラブラブこっちが恥ずかしいからやめてくんない?」
というのは成己。
お前も結婚すればわかるというものだ。マリは俺から治癒魔法を学ぼうとしている。
「マリ、俺の治癒魔法はだなぁ。ドラゴンに教えてもらったものだから…」
「ドラゴンなんて空想上の生き物でしょう?父さんてば何を言ってるの?」
俺とリンは顔を見合わせてしまった。
「仕方ないなぁ」
俺はかなり久しぶりに角笛を吹いた。
ちょっと大きい大型犬サイズで龍己が来てくれた。
「なんだよ?なんかちょっと見ないうちに増えてるな」
「龍己に紹介するな。こっちが長男の成己。で、こっちが長女のマリ。マリが治癒魔法を学びたいんだとさ」
「マリ、わかっただろ?ドラゴンは実在するんだ」
「小さいじゃない!」
「それはこの家に合わせて小さくなってるだけ。本当はデカい。昔は背中に良く乗ったなぁ」
出産は男子禁制です!




