第32話
正直なところ、胸のあわせのところにいる龍己が鬱陶しい。女性の着物のように袖があったら袖にしまうのに…。
「お前か?何やら奇怪な術を使うのは」
何時代なんだろう?俺達は連行された。とはいえ、連行しているやつも俺がその気になれば…というやつだし(殺人はしたくないから眠らせるけど)、どこに連れて行かれるんだろう?
「ヒメ!怪しげな術を使う男を捕らえてきました」
「うむ、下がってよいぞ」
これは……昔は日本でも一重で切れ長の目が美人だったらしいが、俺の好みではない。たとえ‘ヒメ’と呼ばれようとも嫌だ。それよりも‘ヒメ’のお付きの女性の方が俺としては美人だと思うんだが……。
「はぁ、客人に茶の一つも満足に出せないのか?見目も悪いが、動きも悪いな」
そう言う‘ヒメ’は口が悪いと思う。
「して、そなたはどのような術を使うのだ?」
「いろいろできるので、この場で披露できませんが……」
その時、俺の胸元から龍己が落下してしまった。
「あ、龍己!」
「ほう、龍己と申すのか?その龍は。そなたが名前を付けたのか?」
「はぁ、まぁ」
お茶が運ばれてきた。見目が悪い?どこが?俺的にはドストライクだけどな。
「ドラゴンを友とする、様々な術を操る男。そなた、わらわの婿になれ」
嫌です。とは言えない雰囲気。しかし嫌なものは嫌だ。
「あのですねぇ、俺は一夫一婦制で育ってるので、ヒメのように婿が多くいるような方のところに婿入りする気は全くありません」
俺の首に剣の先が当てられるが…。念のため、運ばれながら物理的攻撃が無効になるように魔法をかけていたんだよね(監修:龍己)~。
俺は悠然と龍己を拾って、
「どちらかというと、というか全くの圧勝でこっちの彼女の方が俺の好み。そういうわけでこの彼女を貰っていくよ。無料ってのは心苦しいな」
「あの、私なんか奴隷ですし、見目も悪いし……」
「あ、奴隷なの?なら、無料でも全く気にならないな。礼に金山の場所でも知らせようかと思ったけど止めた」
「金山の場所は教えて行け」
‘ヒメ’は俺に口を割らせようとしたみたいだけど、俺は既に魔法が無効の魔法(監修:龍己)をかけてるから、効かないんだよね。
「そんじゃ、用もなくなったし。リヴィアの街まで行こうか?」
「どうやって行くんですか?」
「そういえば、名前は?」
「リンです」
「うん、カワイイ名前。俺はマサミ。須藤正己だ」
「名字があるのですか?さぞ身分のあるお方……」
「いやいや無職の平民だよ」
自分で言って、切腹をしているような気になる。
「それで、どうやって?」
「龍己の大きさを二人乗りサイズにしてもらって……。できる?」
「俺の上でイチャコラするなよ?」
「承知です」
死にたくないからな。俺はリンを龍己に乗せて俺も乗って、リヴィアの街を目指した。
リンちゃんみーっけ☆




