第24話
麻薬だけは絶対に公表できない!とあの商人は、夜逃げの時に気の置ける従業員に荷物としてひょいと預けて、常連の家に保管をお願いしたらしい。いきなりバレたけど。
それも龍己の嗅覚の賜物。
龍己の嗅覚で、麻薬の行方を捜しているとその商会の従業員に出会った。もろ麻薬を手にしている。
「それは?」
「商会長からの命により、ハンス家へ届ける予定のものです」
「中を拝見するぞ」
見るからに麻薬。
「正己~。あまりに臭くて俺は気分悪いぞ?」
麻薬の効果が龍己に現れてる?うーんどっちかというと気分が高揚するものだと思うのだが、ドラゴンだと違うのか?
「フリック、決まりだって。麻薬臭すぎて、龍己が気分悪いって言ってる。ドラゴンだと人間とは反応が違うのかな?」
よく、トリップするとか言うけど違うのか?
とりあえず、その従業員は拘束。クスリは証拠として押収。薬についてはまだ不思議だから、トブチにも見てもらおう。
「うん、これは麻薬で間違いないよ。しかし、ドラゴンは生態が人間とは違うんだね。そこは薬師として興味あるとこだけど、それはそれだよな」
確かにな。
しかしなぁ、よりにもよってハンス家に行く予定だった。没落したんじゃなかったっけ?でもまぁ、麻薬をハンス家に運びたかったらしい。
没落した貴族といえども、お金が有り余っているって家はあったりする。でもなぁ、麻薬で稼ぐのはどうかと思うけど。
残った麻薬も回収できたようで、フリック的に満足ではないかと俺は思う。でもケシとかって自生してるんだよな。それってどうするんだ?あ、ケシが存在するのかわからん世界だったな。
これでフリックの望む麻薬の無い王国の完成か?
「マサミ、あの商人言い逃れが酷い。マサミがちょっとやってくれないか?」
仕方ないなぁ。
「アイツが失禁しても知らないぞ?」
「ああ、地下牢だから、臭いのは捕まってるアイツだ。服も濡れども着替えはナシ」
俺だったら耐えられない!
「よお、悪いな名前覚えてないんだ。俺に社交性なんてないし。お前らに見殺しにされた須藤正己だ」
名前を名乗っただけなのに、失禁しなくてもいいじゃないか。心外だなぁ。
「俺がヴェータス王国で商人たちの信用を落としたからって理由でこれはないだろう?麻薬取引で大儲け?異世界だから刑が重いかもしれないなぁ」
「俺は悪くない。俺を追い詰めたお前が悪いんだろ!」
「そうじゃないだろ?もし俺が追い詰めたせいだったら、あのときそこにいた商人全員が麻薬を取り扱ってないとおかしいだろう?」
「お前のせいで、人生が変わったんだ!」
「そう?俺はお前らのせいで殺されかけてるけどね」
「全部お前のせいなんだ!」
「他責主義なのか?そいつはいかんな。で、俺のせいだとして何だと言うんだ?」
「ここから出せ」
あー着替えたいよな。いい年して失禁したままは恥ずかしいし。
「その権限は俺にないから無理ー。他は?え?それだけ?着替えたいだけ?」
「お前はなぁ。麻薬を扱っただろう?それを貴族に横流ししただろう?」
「商売だ!売ったんだ」
「どっちでも特に変わんないけど。あと、陛下の暗殺に関わってるだろう?あ、未遂か」
「へっ、陛下なんてもうすぐ亡くなるだろうよ」
「残念だけど、俺が解毒したし。殿下についても同じ。暗殺未遂だなぁ。って結構な罪を犯してるんだが自覚ある?俺のせいじゃないぜ?俺は陰キャだからな。こういう異世界のルールはよく知っている。陛下とか貴族とかに逆らってはいけない。平民はなぁ。俺達は平民だからなぁ」
「解毒?解毒薬なんて出回ってないはず」
「はい、言質いただきました~。解毒は俺の解毒魔法使ってるから解毒薬がどうとか無関係。残念だったな」
麻薬に関わったことは自白してるし、解毒薬がない毒を扱ったことも自白している(無自覚かもしれないけど)。
「フリック~?こんなもんでいいか?」
「助かったよ、マサミ。こいつはダンマリ決めこんじゃってたんだ」
俺にはいろいろぶちまけてたな。
知らないって罪なだなぁ。無知の知…。頑張って色々知った方がいいね。政治家さんも「知りません」とか言ってる場合じゃないよ~。




