第23話
非常になんともわかりやすい。出すだけボロを出すんじゃないか?
「その薬の成分は何だ?心配無用だ。私は世界を渡り歩いて知識が豊富。多少のことで動じないぞ」
俺が正体を明かした時、めっちゃテンション上がってたよなぁ……。
「ジアエンソサンというものです」
「ほう、初耳」
俺はフリックにこいつは堂々と嘘を吐いている。と言っておいた。次亜塩素酸だろう?麻薬の成分か?次亜塩素酸なんちゃらとかよく耳にするけど、麻薬?
違うだろ?普通の漂白剤とかで結構人体に有害。そんなものを陛下に与えたらダメだろう?体調は良くならないだろう。どちらかというと、気持ち悪くなりそ~。
フリックはそのクスリをとりあえず商人から受け取った。商人は名前……あ~、忘れた。俺は社交的じゃないからなぁ。陰キャだし。
受け取ったところは俺という第3者が目撃しているし、次亜塩素酸がどういうものかも後でフリックに説明すればいいだろう。
それを「体調がよくなるやもしれない」と国王陛下に渡そうとしたという罪が加算される。アワレ。
「フリック、次亜塩素酸だけどなぁ」
「あぁ、知ってて知らないフリをしてこの薬を入手。あいつを捕まえる証拠になるだろう?」
こいつ……なかなか食えないやつだったのか⁉
「麻薬は持ち歩いていないみたいだけど、龍己の嗅覚が反応したって事はあいつで決まりか?実は俺もトブチに薬品を借りてたんだ。見事に反応したよ」
「あいつがこの国に麻薬を持ち込んだのか……」
フリックはよくよく拳を握って血を流すもんだと思い、俺は密かに治療をしておいた。
「あいつの商会のところに強制捜査か?」
「うーん、証拠として弱いような……」
「いや、次亜塩素酸で国王陛下を殺害未遂の容疑がある。それなら確実だろう?」
「話を聞いていたというマサミも一緒ならな。濡れ衣とか言い逃れ方法などいくらでもあるからな」
そんな弱腰でどうするんだ?次期国王!
「はぁ、俺も行くかぁ。ローブを深くかぶればいいかな?」
声で俺だとバレやすいのか?なるべく声を出さないで行こう。
その日の夜のうちに、フリックと俺は(騎士の皆さんも)断定したやつの商会へと行った。まさに夜逃げをしようとしていた。
「何をしているのですか?引っ越しですか?こんな夜中に」
突然明りに照らされて、商会の従業員も驚いていた。
「国王陛下の殺害未遂により、この商会の商会長の身柄を確保する。商会の移動も許さない。これより商会内の捜査を行う」
ほとんど引っ越し荷物になってるけど?
騎士達は容赦なく、夜逃げ用にまとめられた書類などを押収。
「王子!ここに麻薬らしきものが‼」
「今行く」
なんとも無防備だよなぁ。半分以上事件が解決したようなものだからか?俺だけか?殺意みたいなものを感じるのは。
「王子!」とフリックを呼んだのは偽物。まぁ本人もわかっているだろう。普段は「殿下」って呼ばれているからな。
「これなんですけど、よく見ていてくださいね」
男はフリックの後ろからナイフで襲い掛かった。
「はぁ、暗がりでよく見えてなかったみたいだね。彼はただの騎士だよ。あ、ありがとう」
「殿下のお役に立てたならば感激です!」
騎士はモウレツに感激していた。
「で、何をしているの?」
「いや、あの王子の側に大きな野良猫がいたので退治をしようかと……」
「そんなものはいなかったよ。君は明らかに私を狙っていたでしょ?」
「殿下殺害未遂容疑でその場で拘束する!騎士。この者を地下牢へ」
「「「はっ!」」」
肝心の麻薬はなかなか出てこない。どういう事だ?
物凄い杜撰というか、愚かっていうか、ツメが甘い?こやつらはこういう世界に慣れてないのか?




